この記事について海外で公開された情報をもとにAIが要約・解説した記事です。原文の翻訳ではありません。正確な内容は記事末尾の出典元をご確認ください。
この記事の要点
  • コード生成モデルに水彩画を描かせる試みをオープンに再現
  • HPSv3とペアワイズ判定を組み合わせた美的報酬を設計
  • 178枚のモデル生成画像を手選別し、個人の好みを反映

発端と公開の狙い

Hugging Faceのブログで、コード生成モデルに水彩画を描かせるという実験が詳しく紹介された。この記事は2026年9月3日付で、アーティストのSurya Narreddi氏が8月23日に投稿した動画が発端だ。動画にはモデルが生成した水彩画が映っており、執筆時点で再生回数は150万回を超えている。

モデルはp5.brushというライブラリを使い、JavaScriptのコードとして絵を描く。Narreddi氏のブログには初期段階の学習内容が説明されているが、データやコードは公開されていなかった。そこでHugging Face側が、同じアイデアをオープンに再現する試みを始めた。

報酬: 美しさをどう測るか

通常の言語モデルRLは、数学の答えやテストに通るコードなど、検証可能な報酬を使う。これに対し、このプロジェクトは美的な好みを報酬にする。正解がない点が最大の難しさであり、「RLで個人の趣味を学習できるか」という問いがプロジェクトの中心にある。

報酬は2つのモデルを組み合わせて計算する。1つはHPSv3と呼ばれる7Bパラメータのオープンな選好モデルで、画像と説明文から人間が好みそうかをスコア化する。もう1つはQwen3-VL-30B-A3B-Instructによるペアワイズ判定で、候補の絵をプールから無作為に選んだ4枚の参照画像と比較し、勝った割合を報酬とする。

ペアワイズ判定には、にじみや透明感、柔らかい輪郭などの観点が指定され、左右の提示順も入れ替えて2回評価する。この判定によって、個人の好みが反映されたプールが教師の役割を果たす。

RL環境と描画の制約

学習ではTRLとOpenEnvを使ってパイプラインを構築する。モデルはQwen/Qwen3.5-35B-A3BをベースにLoRAで軽量化されており、指定した1コマンドで学習が実行できる。全てのコードと学習済みモデルはHugging Face Hubに公開されている。

描画環境ではp5.brushが実際の紙や顔料をシミュレートする。ライブラリには47のメソッドがあるが、学習時のプロンプトでは10個だけが使える。これにより線やハッチングなどを排除し、水彩らしい塗りの表現に限定している。

また、生成されたスケッチがコンパイルできるか、p5を直接呼んでいないか、キャンバスに本物の絵の具があるかなどを検査するゲートも用意されている。不正にスコアを欺こうとするコードは弾かれる仕組みだ。

手選別プールの役割と限界

報酬の基準となる参照プールは、著者が個人的に選んだ178枚の絵で構成される。これらの絵はすべてモデルが生成したもので、人間の絵画は含まれていない。4種類のオープンなモデルが、iNaturalistの公開ライセンス写真を基にp5.brushでスケッチを作り、それをビジョンモデルのフィードバックで3回改善した後、著者が1枚ずつ選別した。

プールは「love」と「okay」の2段階に分けられており、ペアワイズ判定の際は両方から半分ずつ参照画像を選ぶ。この設計は、初期の弱いモデルでも勝てる相手を残すための工夫だ。人間の作品を使っていない点は限界として明記されている。

原文からの引用
The more weight the judge carries, the more the reward means my taste instead of everyone's, and the harder it should be to climb.

判定モデルが担う重みが大きいほど、報酬は「みんなの好み」ではなく「私の好み」を意味するようになり、上昇させるのも難しくなるはずだ。

今後の見通し

現時点では、Surya Narreddi氏が完全なテクニカルレポートを近く公開するとブログに書かれており、それが待たれる。また、Hugging Faceの著者は「次に試したいこと」をリポジトリにリストしていると述べている。今後のレポートで、3種類の報酬配分の詳細な比較や、他の被写体・画材での有効性が明らかになれば、美的好み以外の主観的タスクへの適用可能性を判断できるだろう。

日本の開発者・IT企業にとっての意味

日本のIT企業にとって、この事例は主観的な品質を報酬として扱うRLの実装例として有用です。通常、コード生成のRLは実行テストなどで検証可能な報酬を使いますが、このプロジェクトは人間の好みをスコア化するHPSv3と、参照画像群に対する勝率を判定するペアワイズ判定を組み合わせることで、デザインやUIなど「正解のない」評価を学習に組み込めることを示しています。しかも全コンポーネントが公開され、自分でプールを作れば特定の企業スタイルに合わせることも可能なため、試作や内製化の起点にしやすいと言えるでしょう。

気になる点

学習データやコードは公開されていますか?
はい。元のブログによると、リファレンスプールのデータセット、RL環境、学習スクリプト、学習済みモデルがすべてHugging Face Hub上で公開され、コレクションにまとめられています。
この手法は検証可能な報酬が得られない分野でも使えますか?
元記事は「美の好みに対するRLが可能か」を問いかけており、そのための汎用的な仕組みとしてHPSv3とペアワイズ判定を組み合わせています。ただし、実際に特定の業務へ応用するには、対象に合わせたプールの構築が必要とみられます。
学習にはどのようなリソースが必要ですか?
元記事では、HF Jobs上でh200フレーバーを使い、最大48時間のタイムアウトで実行するコマンド例が示されています。具体的なGPUの枚数やコストは明記されていません。

用語解説

p5.brush
p5.js用の描画ライブラリ。水彩のにじみや紙の質感など、絵画のメディアを擬似的に再現する。
HPSv3
人間の画像選好を学習したオープンな7Bパラメータのモデル。画像と説明文から好みのスコアを返す。
ペアワイズ判定
2つの画像を比較して、どちらが好まれるかを判定する手法。この記事ではQwen3-VL-30B-A3B-Instructを使い、参照画像群に対する勝率で報酬を算出する。

出典

Training a coding model to paint watercolours with TRL and OpenEnv

Hugging Face / 2026年9月3日

https://huggingface.co/blog/train-to-paint-with-code

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