
- OpenAIがエージェント基盤「Dots」を発表、最上位プラン契約者向けに提供
- 仮想マシンでBlenderやGIMPを操作でき、自分のPCへのアクセスも付与できる
- 外部サイトのボット判定でつまずき、Stripe相当の決済連携も未整備
Dotsとは何か
OpenAIは今週、新しいエージェント基盤「Dots」を発表した。Dotはブロブ状の擬人化アバターを持ち、名前を自由に設定できる。現時点で利用できるDotは1体で、将来的には複数のDotを持てるようになるとOpenAIは説明している。
画面構成はMetaの「Muse」に似ており、一方のウィンドウでエージェントと会話し、もう一方で仮想マシン上をクリックして回る作業の様子を追う形になる。ただしMuseが個人向けの買い物支援に寄っているのに対し、Dotsは業務ソフトウェアとしての性格が強いと筆者は指摘する。エージェントが他のソフトウェアを操作する、という位置づけだ。
実際に試した結果
The Vergeの記者は、インターネット回線の開設予約、コワーキングスペースの見学予約、IKEAのアカウント情報の確認といった日常的なタスクをDotに任せた。回線業者の予約では削除済みメールの中から100ドルの割引を見つけるなど健闘したが、「human check」と呼ばれる人間の操作を求める確認で止まり、最終的には記者自身が操作する必要があった。
一方、記者が完全に管理できる対象では成果が安定していた。10分間の通話で要望を伝えた個人サイトのリニューアルでは、複数回の反復を経て以前より良いデザインが得られたという。
デスクトップ版ChatGPTアプリを通じて自分のPCへのアクセスを与えると、動画ファイルを結合してSNS向けのサイズに整える作業と、ウェブサイトの変更のデプロイを実行した。かなり多くの権限付与が必要だったが動作し、完了の通知はスマートフォンのChatGPTアプリで受け取れたとしている。
Museとの違いと料金
Dotsは最上位のアカウント契約者向けに先に提供される。筆者は月100ドルのProアカウントを経費で落として検証した。MetaのMuseと、その競合とされるInstinctは無料で利用できる。
この提供方法は、Dotsが誰向けの製品かを示していると筆者は見る。無料で配られるMuseやInstinctは、将来広告などのマネタイズ圧力を受ける可能性がある。これに対しDotsは利用者が前払いするため、業務用ソフトウェアとして割り切りやすいという指摘だ。
筆者はDotを「一般の人向けのCodex」として捉えるとしっくりくると述べている。開発者向けのCodexを、一般の利用者にも使えるようにしたもの、という位置づけになる。
見えていない課題
検証では、Dotは外部サイトのボット対策でたびたび止まった。IKEAのアカウントではセキュリティチェックがループしてログインできず、近所のテリヤキ店の注文ページからはブロックされた。MuseやInstinctよりもセキュリティチェックでつまずくことが多いと筆者は記している。
決済面も未整備だ。MuseにあるようなStripe連携(カード情報を保存し、仮想カードで決済する仕組み)はDotにはなく、銀行口座情報の入力は記者自身が行うことになった。最終的にテリヤキの注文は、Uber Eatsへのログインを手伝ったうえで完了したとしている。
提供地域や日本語対応、複数のDotを使えるようになる時期については、原文で言及されていない。
| 項目 | Dots | Meta Muse | Instinct |
|---|---|---|---|
| 料金 | 最上位アカウント向け(月100ドルのProなど) | 無料 | 無料 |
| 主な用途 | 業務ソフトウェアとして他のソフトを操作 | 個人向けの買い物支援 | 原文では個人向けタスクの比較対象 |
| 決済連携 | Stripeのような連携はなし | Stripe連携でカード情報を保存し仮想カードで決済 | 原文に記載なし |
Dot makes a lot more sense when you think of it and use it as “Codex, but for regular people” — a cute little blob that can take care of some part of your business while you do other things.
Dotは「一般の人向けのCodex」として捉えて使うと、はるかに納得がいく。あなたが別のことをしている間に、あなたの仕事の一部を片付けてくれる可愛らしい塊だ。
今後の見通し
Dotsは現時点で最上位プラン限定の提供であり、OpenAIが今後どこまで対象を広げるかが焦点になる。複数のDotを使い分けられるようになる時期や、Stripeに相当する決済連携、外部サイトのボット判定への対応が明らかになれば、業務利用の可否を判断しやすくなる。無料で使えるMuseやInstinctとの競争がどう進むかも、料金体系を左右するとみられる。日本での提供開始時期は原文に情報がなく、続報を待つ必要がある。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとっての意味は、AIエージェントの実用範囲が「自分たちが管理できる作業」から先に立ち上がりつつある点にある。原文の検証では、PC内の動画編集や自社サイトの更新は権限を与えれば実行できた一方、外部サイトの予約や決済はボット判定に阻まれた。まずは社内の定型作業やアセット整理を任せる用途から試すのが現実的だ。また、前払い型で広告マネタイズの圧力がかかりにくい設計は、業務利用を検討する際の評価軸になる。ただし多数の権限付与を伴うため、アクセス範囲の設計や、人間の確認が必要な場面の扱いを自社のセキュリティポリシーで詰める必要がある。開発者以外の社員にエージェントを配る流れを想定した準備が求められる。
気になる点
- Dotsは日本でも使えますか
- 原文では提供地域についての言及はない。OpenAIは最上位アカウントの利用者に先に提供すると説明しており、検証には月100ドルのProアカウントが使われている。日本での提供開始時期や日本語対応は現時点で公表されておらず、OpenAIの案内を待つ必要がある。
- 月100ドル払う価値はありますか
- 筆者は自分の仕事では月100ドルに見合わないとしつつ、起業準備中の人にはより有用だろうと述べている。自分が管理できるファイル操作やサイト更新では効果が高く、外部サイトの予約や決済では人間の操作が必要だった点が判断材料になる。
- MuseやInstinctから乗り換えるべきですか
- 用途が異なるため一概には言えない。Museは個人の買い物支援に寄り、Dotsは業務ソフトウェアとしての性格が強い。検証では、コワーキングスペースの無料見学の選択肢を見つけられなかった場面でInstinctが数分で予約を設定しており、目的に応じて使い分ける形になりそうだ。
用語解説
- AIエージェント
- 指示を受けてソフトウェアやWebサイトを自動で操作するAI。本記事では仮想マシン上で作業するOpenAIのDotを指す。
- 仮想マシン
- クラウド上に用意された、エージェントが操作するための仮想的なコンピュータ環境。
- human check
- 自動操作を防ぐために人間の操作を求める確認。記事では長押しが必要でエージェントが突破できなかった。
- Stripe
- オンライン決済サービス。Museは連携してカード情報を保存し、仮想カードで決済できる。
- Codex
- OpenAIの開発者向けエージェント。記事はDotをその一般利用者向け版と位置づけている。
- Blender/GIMP
- Blenderは3D制作、GIMPは画像編集のソフト。Dotはこれらを仮想マシンから利用できる。
出典
OpenAI’s Dot agent is enterprise software that can also order your dinner
https://theverge.com/ai-artificial-intelligence/1004096/openai-chatgpt-dots-hands-on-agent
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