
- AgentCoreがMCPサーバー経由で複数システムに接続し、オーケストレーションや認証を担当
- SageMaker Data Catalogによるセマンティックレイヤーでデータの所在を判別、新規ソースは登録だけで追加可能
- 既存のMCP標準に沿ったサーバーを利用でき、AWS以外のシステムにもOAuthなどで接続できる
複数システムに散らばるデータ
AWSは2026年7月29日付のブログで、Amazon Bedrock AgentCoreを中心にMCPサーバーでデータソースを接続する自律BIの参照アーキテクチャを公開した。記事では、12本の組み立てラインと2,000台の機器を管理する工場管理者が、IoTダッシュボード、ERP、稼働時間ログ、OEE、品質データを手作業で突き合わせていた例を挙げている。
この例では、一つの質問に答えるまでに複数のシステムを横断し、アクセス権のない担当者は別の担当者に依頼してCSVを受け取るまで4時間かかった。問題はデータが存在しないことではなく、システム間で文脈がつながらないことにあるとAWSは指摘する。
AgentCoreによる5層アーキテクチャ
提案されているのは、ユーザー、Amazon Bedrock AgentCore、MCPサーバー、データ基盤という5層構成。ユーザーが自然言語で質問すると、Bedrockが意図分類と回答生成を行い、AgentCoreが認証・ポリシー・メモリ・オーケストレーションを担当する。
AgentCoreは、事前に接続したMCPサーバーのツールをゲートウェイ経由で呼び出し、結果を統合して回答する。データソースの選定には、SageMaker Data Catalogを利用したセマンティックレイヤーが使われ、データがどこにあるかをエージェントが把握できる。
データ基盤にはSageMaker Lakehouseを中心に、Redshift、S3 Tables、OpenSearch、Auroraなどが想定されている。新しいデータソースはData Catalogに登録すれば追加でき、統合コードを書く必要がない。
MCPサーバーの役割
MCPはAIエージェントがツールを発見・実行するためのオープン標準。各業務領域ごとにMCPサーバーを用意し、get_equipment_statusやdetect_anomalyのような型付きツールを公開する。Bedrock AgentCoreはRedshiftやAurora、OpenSearch向けの組み込みコネクタを提供し、商用SaaSにはOAuth経由で接続できる。
カスタムMCPサーバーもFastMCPフレームワークで作成できる。組み込みと同様に扱われるため、既存のMCP資産を活かしやすい。状態を持つステートフルなMCPサーバーは、セッション内の中間結果を保持するが、水平スケール時の設計に注意が必要だとしている。
利点と注意点
MCPを使う利点は、各サーバーが独立してデプロイでき、ドメインごとにスキーマと認証をカプセル化できる点にある。オープン標準のためベンダーロックインを避けやすく、AWSネイティブなサービスは短期間で接続できるとみられる。
一方で、組み込みコネクタがない既存システムには低コードテンプレートによる一度きりの設定が必要。サーバーごとの監視やバージョン管理、ステートフルサーバーのセッション管理など、運用面では追加の考慮事項がある。ブログでは、ゲートウェイを介して接続することが推奨されている。
The data existed but it just couldn’t speak in one voice.
データは存在していたが、それを一つの声で語らせることはできなかった。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本企業では工場や基幹システムなど複数のデータ源を抱え、データ活用のボトルネックが人による統合作業にあるケースは少なくない。この参照アーキテクチャは、そうした手作業をエージェントに置き換える可能性を示す。特に、既存のAWS環境でSageMaker LakehouseやRedshiftを利用していれば、追加のコード開発なしに自然言語でのデータ問い合わせを試せる点は検討価値がある。ただし、導入にはデータカタログの整備やアクセス権限のポリシー定義が前提となる。MCP標準を採用しているため、将来サーバーを追加する際も同じ仕組みで拡張できる。コストや性能はユースケースによるとみられる。
用語解説
- Amazon Bedrock AgentCore
- AWSが提供するAIエージェント実行基盤。オーケストレーション、セキュリティ、メモリ、スケーリングを担う。
- MCP(Model Context Protocol)
- AIエージェントが外部ツールやデータソースを発見・実行するためのオープン標準プロトコル。
- SageMaker Lakehouse
- Apache Iceberg互換のオープンなレイクハウス。S3のデータレイクとRedshiftなどのデータを統合して参照できる。
- セマンティックレイヤー
- データの意味や所在をメタデータとして整理し、エージェントが適切なデータソースを選ぶのを助ける層。
出典
Generate Autonomous Business Insights with AI Agent and MCP Servers
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