- SageMaker Python SDK v3.17.0で生成AI推論のベンチマークと推奨生成が可能に
- エンドポイントの負荷テスト結果に基づき、コスト性能比で最適な構成をランキング
- 推奨結果から直接デプロイし、LMIやvLLMの比較も同一ワークフローで実行
発表の概要
Amazon Web Services(AWS)は、Amazon SageMaker Python SDK v3.17.0で、生成AI(LLM)の推論デプロイを最適化するための新機能を発表しました。この機能は、ノートブック上でエンドポイントのベンチマーク、デプロイ推奨の生成、その推奨構成での直接デプロイを可能にします。
従来、これらの操作はAmazon SageMaker StudioのUIやBoto3 APIを経由する必要がありましたが、今回のアップデートによりPython SDKの操作として統合されました。既存のノートブックやパイプラインのワークフローに自然に組み込めるのが特徴です。
対象となるパッケージはsagemaker.serve.ai_inference_recommenderで、バージョン3.17.0から利用できます。このパッケージには、generate_deployment_recommendationsやModelBuilder.from_recommendation_jobなど、一連の操作が含まれます。
ノートブックで完結するワークフロー
推論最適化の一連の流れは、ノートブック内で完結します。まずModelBuilder.from_jumpstart_configを使ってJumpStartモデルを準備し、generate_deployment_recommendationsを呼び出します。このAPIは、指定したインスタンスタイプやフレームワークの組み合わせを探索し、ワークロードに合わせた負荷テストを実行します。
その結果、コストと性能のトレードオフを考慮した推奨構成がランキング形式で返されます。最上位の構成はmb.deployでそのままエンドポイントとしてデプロイできます。さらにstart_benchmarkを使えば、デプロイしたエンドポイントに対して合成ワークロードで負荷テストを実施し、実際の性能を検証できます。
また、推奨ジョブを一度実行しておけば、後からModelBuilder.from_recommendation_jobを使って再開することも可能です。これにより、実験段階でデータサイエンティストが生成した推奨結果を、リリース時にMLOpsパイプラインがデプロイするといった分業もやりやすくなります。
推奨結果の読み方
推奨結果には、スループット、OutputTokenThroughput、リクエストレイテンシ、TimeToFirstToken(TTFT)、InterTokenLatencyなどのメトリクスが含まれます。これらはp50/p90/p99のパーセンタイルで表示され、それぞれの意味を理解して構成を選ぶことが重要です。
記事内の例では、ml.g6.2xlarge上でLMIコンテナのバージョンが異なる2つの構成が比較されていました。ランク0の構成は、リクエストスループットが平均で112.8リクエスト/秒、TTFTのp90が983ミリ秒と、ランク1の構成をすべての指標で上回っています。これは性能目標としてTTFTを優先する設定が反映された結果とみられます。
実際の選択では、チャットボットなどレイテンシ重視のアプリケーションならTTFTを、バッチ処理などスループット重視の業務なら処理量を優先するとよいとされています。複数のメトリクスを総合的に判断し、必要に応じてコストも考慮する必要があります。
別セッションからの再開と注意点
今回の機能は、推論エンドポイントの最適化を自動化する点で有用です。ただし、実際の性能はワークロードやモデルに依存するため、ベンチマークでは本番に近いトラフィックパターンで評価することが推奨されます。
また、事例としてLMIとvLLMの比較が挙げられていますが、特定のフレームワークやインスタンスタイプだけで判断するのではなく、複数の構成を試しながら最適な組み合わせを見つけるアプローチが有効です。
Generative AI inference recommendations in Amazon SageMaker AI automate inference optimization by benchmarking a live Amazon SageMaker endpoint against a synthetic or real-traffic workload, measuring throughput, time-to-first-token (TTFT), end-to-end latency, and more.
Amazon SageMaker AIの生成AI推論推奨は、ライブのAmazon SageMakerエンドポイントを合成または実トラフィックのワークロードに対してベンチマークし、スループット、最初のトークンまでの時間(TTFT)、エンドツーエンドのレイテンシなどを測定することで、推論の最適化を自動化します。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業や開発者にとって、このアップデートはLLM推論のデプロイ作業を大幅に効率化する可能性があります。従来はSageMaker StudioやBoto3を使った複雑な手順が必要でしたが、Python SDKだけで一連の最適化が完結するため、ノートブックベースの開発プロセスやMLOpsパイプラインへの組み込みが容易になります。特に、コストと性能のトレードオフを定量的に評価したい場合や、LMIとvLLMなど複数の推論サーバーを比較検討したい場合に有用です。また、推奨ジョブの結果を別のセッションから再利用できるため、チーム分業やリリース自動化との親和性も高いと言えます。
用語解説
- Amazon SageMaker Python SDK
- AWSが提供する機械学習ライブラリ。PythonからSageMakerの各種機能を操作するためのSDKです。
- 生成AI推論推奨
- エンドポイントのベンチマークと負荷テストに基づき、最適なデプロイ構成を提示するSageMaker AIの機能。
- TTFT(Time to First Token)
- 推論リクエストを送ってから最初のトークンが返るまでの時間。体感速度に直結する指標です。
- LMI(Large Model Inference)
- SageMakerでLLMを効率的に実行するためのコンテナソリューション。複数の推論最適化技術を組み合わせられます。
- vLLM
- 高速な推論を実現するオープンソースのLLM推論エンジン。SageMaker上でも利用可能です。
出典
LLM optimization integration for Amazon SageMaker Python SDK
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