
- ByteDanceが最大10兆パラメータのモデルを事前学習中
- 中国公開最大のKimi K3の約3倍の規模に相当
- AnthropicのMythos 5は約8兆パラメータと推定
10兆パラメータの事前学習
ByteDanceは現在、最大10兆パラメータ規模のAIモデルを初期段階で訓練している。関係者によると、これは中国でこれまでに公開された最大モデル「Kimi K3」の約3倍の大きさだ。事前学習は通常3〜6か月かかる段階で、その後に微調整を行い、うまくいけば公開されるという。正確なモデル規模は後段で決まる見通しだ。
Anthropicはモデル規模を非開示にしているが、業界推定では最先端の「Mythos 5」が約8兆パラメータ、「Fable 5」が約5兆パラメータとされる。パラメータ数はモデルの容量や記憶の限界を決める基本的な要素だが、実際の性能はデータ品質や訓練方法などにも左右される。
中国勢の追い上げ
ここ数週間だけでも、MoonshotやAlibabaの中国モデルはベンチマークで強い性能を示し、一部領域ではAnthropicのFable 5に次ぐ結果を出している。Mythos 5は6月に一時的な配布停止があり、現在は承認された組織のみが利用できる。
業界関係者によれば、複数の中国ラボがFable 5並みのモデルを訓練中で、ByteDanceは最大規模のモデルを目指す点で最も野心的とされる。中国勢は単にキャッチアップするだけでなく、最先端のAIで米国勢を上回ることを狙っている。
独自開発へのこだわり
ByteDanceのモデル開発は、他ラボの既存モデルを「蒸留」しない独立したアプローチを取っている。モデル蒸留とは、大規模なモデルの知識を小さなモデルに複製する手法で、これを避けることで時間はかかるものの、独自の性能向上を目指しているとみられる。
創業者の張一鳴氏は2週間前の社内会議で、シードチームに対し長期的に「世界最先端のモデル能力」を目指すよう指示した。近い将来の遅れに過度に心配せず、独自開発のみが競合を上回るモデルにつながるという信念に基づく。
事業展開の広がり
ByteDanceはTikTokの親会社として知られるが、AI開発ではこれまで低調な姿勢を保ってきた。モデルの多くはクローズドで、動画生成のSeeDanceは世界的に最先端の一角、消費者向けのDoubaoは中国で最も人気で月間アクティブユーザー数は3億2400万人に上る。
また、ここ3年で他の中国テック大手より積極的にAIへ投資し、データセンター網の構築や研究者の採用を進めている。企業向けAIソリューションを提供するクラウド部門の火山エンジンや、自社開発AIチップの構想もある。
規模だけでは測れない性能
今回の情報は関係者の話に基づくもので、ByteDanceはコメントを出していない。モデルの正確なパラメータ数や公開時期、性能は現時点では不明だ。また、パラメータ数が大きいだけでは性能は決まらず、データ品質や訓練手法などが重要だ。
中国勢のモデルはベンチマークで存在感を増しているが、実際の利用時の品質や安全性、規制の違いなどが評価に影響する可能性もある。今後の動向を注視する必要がある。
Its model development has also implemented a more independent approach that does not involve “distilling” existing models from other labs, according to one of the people.
関係者によると、ByteDanceのモデル開発は、他ラボの既存モデルを「蒸留」しない、より独立したアプローチを導入している。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、中国勢の大規模モデルの台頭は、AI基盤モデルの選択肢が広がることを意味する。ByteDanceのモデルは現時点では非公開だが、クラウド部門の火山エンジンなどを通じて企業向けに提供されれば、既存の米国製モデルに依存している日本企業は、性能・コスト・データ取り扱いの観点から比較検討を迫られるだろう。また、中国勢の台頭は米国製モデルの価格競争を促す可能性もある。一方、独自開発という方針は差別化要因になるが、開発に時間がかかるリスクもはらむ。日本企業は、中国勢のモデルが実際の業務でどの程度の性能を発揮するか、安全面や規制面の扱いも含めて慎重に見極める必要がある。
用語解説
- パラメータ
- ニューラルネットワークの重みなどの数値で、モデルの記憶容量や表現力を左右する。規模の目安に使われる。
- 事前学習
- 大量のデータでモデルの基礎的な能力を育てる工程。通常数か月かかり、その後タスク向けに微調整する。
- モデル蒸留
- 大きなモデルの知識を小さなモデルに転写する技術。開発を高速化できるが、独自性は弱まる。
- ベンチマーク
- AIモデルの性能を比較するための標準的な評価タスクやデータセットのこと。
出典
ByteDance trains massive AI model in bid to rival Anthropic
https://arstechnica.com/ai/2026/08/bytedance-trains-massive-ai-model-in-bid-to-rival-anthropic
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