
- Exa連携でチャットに最新情報と出典リンクを表示
- 履歴を自然言語で検索し、視覚的プレビューを表示
- 利用するAIモデルをGoogle、OpenAI、Alibaba、ローカルから選択可能
発表内容の概要
Mozillaは2026年8月18日、FirefoxのAIブラウジングモード「Smart Window」の機能更新を発表した。Exaとの提携により、AIチャットが現在のウェブ情報を取得し、回答に出典リンクを表示できるようになった。また、ブラウジング履歴を自然言語で検索すると、過去に訪れたページの視覚的なプレビューが表示される。タブのグループを自動的に提案し、重複したタブを閉じる機能も追加された。
これらの機能は、ユーザーが過去に閲覧した情報を整理して再提示することを重視している。新しい検索結果を提示するのではなく、すでに見たコンテンツを出典付きで取り出す点が特徴だ。Mozillaは、ページの内容は覚えていてもどのページか思い出せない場合に役立つと説明している。
技術的な新しさ
Smart WindowのAIは、従来のAI検索アシスタントと異なり、新規の検索結果ではなく、ユーザー自身の閲覧履歴や選択したリンクを整理する。デモでは「先週見たランニングシューズ」という自然言語の問いかけに対し、履歴から該当するページを抽出し、画像を表示した。
タブの自動グループ化機能は、重複タブを検出して閉じることで、重要なタブの管理を容易にする。ベータユーザーからは、思考の流れを維持するのに役立つというフィードバックが寄せられている。ただし、実際の有用性はまだ試用してみないと判断できない。
プライバシーとモデル選択
ユーザーはSmart Windowで利用するAIモデルを選択できる。選択肢には、GoogleのGemini 3.1 Flash Lite、OpenAIのoss-gpt-120b、AlibabaのQwen3-235B-A22B-Instruct-2507、そしてローカルで動作するAIモデルが含まれる。Mozillaは、デジタル主権の可能性を確保するため、地域の企業やビッグテックとは異なる視点を持つAIも選べるようにしたいとしている。
データの扱いについて、MozillaのシニアスタッフプロダクトマネージャーであるSteve Truong氏は、第三者プロバイダーとの間でゼロデータ保持契約を結んでいると説明する。ユーザーのプロンプトはメモリ上でのみ処理され、モデルのトレーニング、広告、人的レビューに使用されない。Mozilla自身も、ユーザーの許可なくチャットをサーバーに保持しないという。
今後の展望と注意点
Smart Windowはオプトインのベータ機能として提供されており、正式版の時期は未定だ。MozillaのFirefox責任者であるAjit Varma氏は、The Vergeのインタビューで「正確な日付はまだない」と述べている。今後は、Chromeのように最近の閲覧ジャーニーを表示する機能や、オンラインフォームのAI入力補完が追加される予定だ。
Mozillaは、AI機能を望むユーザーには提供しつつ、全員に強制しない「不可知論的」アプローチを取っている。Varma氏は、自社はブラウザ体験の向上を目指しており、他の企業のようにLLMやチャットクエリの生成を促進することを目的とはしていないと語っている。ただし、このアプローチがどの程度受け入れられるかは、今後のベータテストの結果次第とみられる。
They didn’t create a browser for you to go to Wikipedia more; they created a browser for you to generate more LLM and chat queries. Whereas for us, we are just looking at more just browser experience, user experience.
彼らはあなたがWikipediaをもっと見に行くためのブラウザを作ったわけではない。もっとLLMやチャットのクエリを生成させるためのブラウザを作ったのだ。一方、われわれはもっとブラウザ体験、ユーザー体験を追求している。
今後の見通し
Smart Windowは現在ベータ版で、正式リリースの時期は未公表だ。今後のアップデートで、最近の閲覧ジャーニーの表示やフォームの自動入力補完が追加されることが明らかになっている。この機能が実際にどの程度の有用性を持つかは、ベータテストのフィードバック次第と言える。また、Mozillaが掲げるデジタル主権の考え方が、ローカルAIモデルの選択肢をどこまで広げるかも注目される。正式版の時期や、対応するAIモデルの拡充が明らかになれば、導入を検討する企業も増えるとみられる。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、MozillaのSmart Windowの動きは、AIをブラウザに組み込む際のプライバシー設計の参考になる。特に、ゼロデータ保持契約やローカルAIモデルの選択肢は、データの外部送信に慎重な企業や、規制対応が必要な業界で注目される。また、複数のAIモデルから選べる『不可知論的』なアプローチは、特定ベンダーに依存しないシステムを求める企業のニーズと合致する可能性がある。一方で、Smart Windowが企業向けの管理機能を備えるかどうかは明らかでなく、実際に業務利用するには今後のアップデートと評価が必要だ。
気になる点
- Smart Windowの正式版はいつリリースされる?
- 現時点では未定。MozillaのFirefox責任者、Ajit Varma氏はThe Vergeの取材に「正確な日付はまだない」と答えており、オプトインのベータ機能として提供が続く。
- Smart Windowで選べるAIモデルは?
- GoogleのGemini 3.1 Flash Lite、OpenAIのoss-gpt-120b、AlibabaのQwen3-235B-A22B-Instruct-2507、または自分のローカルAIモデルを選択できる。ユーザーは設定から自由に切り替えられる。
- 利用時のデータはどう扱われる?
- Mozillaはゼロデータ保持契約を結んだ第三者プロバイダーを利用し、プロンプトはメモリ上でのみ処理される。モデルのトレーニングや広告、人的レビューに使われず、Mozilla自体もユーザーの許可なくチャットを保持しない。
用語解説
- オプトイン
- ユーザーが明示的に同意した場合にのみ機能が有効になる方式。
- ゼロデータ保持契約
- 第三者プロバイダーがユーザーのデータを保存しないことを取り決めた契約。
- ローカルAIモデル
- クラウドではなく、ユーザーの端末上で動作するAIモデル。
出典
Firefox’s Smart Window promises a better AI browser
https://theverge.com/ai-artificial-intelligence/981283/mozilla-firefox-smart-window-ai-features
AI導入も顧問も、お任せください
何から手をつけるか、どこまでAIに任せるか。自社の業務に合わせて整理し、導入から運用まで伴走します。相談だけでも構いません。
AI導入について相談する