
- ピュー研究所の調査で、ChatGPT公開後の新規ページの35%にAI執筆の痕跡
- .comドメインは.eduや.govの約10倍、.orgは4.6%と低水準
- AI検出ツールには誤判定の恐れがあり、結果は傾向として捉えるべき
研究の概要
米ピュー研究所は2026年8月20日、ChatGPTの公開後に投稿されたウェブページの3分の1以上が、AIによって書かれたか、大幅に編集された可能性があるという調査結果を発表しました。調査では、ウェブのアーカイブであるCommon Crawlを使い、過去約5年間に公開された約50万件の英語ページを収集し、AI生成コンテンツを検出するOpen Pangramという技術で分析しています。研究チームは、この結果がウェブの新規コンテンツの多くをAIが占めるという他の研究と整合的だとしています。
2026年7月に収集した1万ページの無作為標本では、約10%にAI執筆の明らかな痕跡が見られました。ただし、この標本にはAIが登場する以前に書かれた古いページも含まれるため、ChatGPT公開後のページに絞って再集計すると、割合は35%に上昇しました。つまり、ChatGPTの登場以降に作られたページのうち、3分の1以上がAIによって書かれているとみられるわけです。
ドメイン別の傾向
ドメイン別に見ると、商用サイトの.comドメインでAI執筆の痕跡が顕著でした。ピュー研究所のデータでは、.comのページは大学や政府機関が使う.eduや.govと比べて約10倍の割合でAI生成の痕跡が見られ、.edu/.govでは約1%にとどまっています。また、非営利団体などが使う.orgでは4.6%でした。
この差は、商用サイトで検索エンジン流入を狙ったコンテンツ生産にAIが活用されている一方、学術機関や政府機関ではそうした利用が限定的であることを示唆しています。.orgの中間的な数値も、組織の運営目的によってAI活用の度合いが異なるためとみられます。
検出方法と限界
ただし、この調査は完璧ではありません。ピュー研究所も、Open PangramのようなAI検出ツールが誤って人間の文章をAIと判定することがあると指摘し、それでも大規模なデータでは方向性は正しいだろうとしています。AI検出技術はまだ精度に限界があり、結果を解釈する際には注意が必要です。
そのほか、AIが使う特徴的な表現も増加しています。例えば、emダッシュ(―)やオックスフォードカンマ(リストの最後の項目の前に置くカンマ)、『~ではなく~だ』といった言い回しなどです。こうした指標もAI生成を推定する手がかりとされています。
背景と今後の影響
この調査は、インターネット基盤企業のCloudflareが、ボットによるトラフィックが人間を上回ったと報告した直後に発表されました。ウェブ上では、AIが書いたページをAIが自動で巡回する構図が広がりつつあります。
一方で、この調査は英語のページだけを対象にしており、日本語など他言語の状況は不明です。また、生成AIモデルの更新によって、検出される痕跡の特徴も変わると考えられます。今後の調査や技術開発が待たれます。
| ドメイン | AI生成の痕跡 |
|---|---|
| .com | 約10倍(.edu/.gov比) |
| .edu / .gov | 約1% |
| .org | 4.6% |
Pew’s data, however, is focused not on who or what is browsing the web, but on what is being browsed. And apparently, much of it is bots reading web pages written by other bots.
ただし、ピュー研究所のデータは、誰が、または何がウェブを閲覧しているかではなく、何が閲覧されているかに焦点を当てています。そしてどうやら、その多くはボットが他のボットが書いたウェブページを読んでいるのです。
今後の見通し
今後、AI生成コンテンツの検出精度が向上し、ウェブ上の情報の信頼性を評価する手法が進むとみられます。また、非英語圏でも同様の調査が行われれば、日本でもAI生成コンテンツの比率を把握できるようになるでしょう。次のステップとして、AI検出ツールの精度検証や、主要な生成AIモデルのアップデートが検出率に与える影響が明らかになれば、この数値の解釈がより確かなものになると考えられます。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、ウェブ上でAI生成コンテンツが増えると、自社のブログやニュースサイトが埋もれる可能性があります。また、SEO対策をAI生成で行う際に、コンテンツの品質や信頼性をどう担保するかが課題になります。さらに、AI生成を見分けるツールやその活用は、今後のマーケティングやブランド保護にも関わってきます。特に、.comドメインの商用サイトでAI生成が多いという傾向は、日本の企業サイトでも同様のことが起きる前兆と捉え、対策を検討する材料になります。
気になる点
- この調査のAI検出率はどの程度信用できますか?
- ピュー研究所はOpen Pangramを使用していますが、AI検出ツールは誤判定の可能性があります。同研究所も『完璧ではない』と認めており、大規模なデータでは方向性が正しいとしています。個別ページではなく全体の傾向として捉えるのが適切です。
- 日本語のウェブページでも同じ傾向が見られるのでしょうか?
- この調査は英語のページのみを対象にしているため、日本語の状況は分かっていません。また、非英語圏では生成AIの利用状況も異なる可能性があります。日本のデータが公表されるまでは、この数値をそのまま当てはめることはできません。
- AI生成ページの増加はSEOにどのような影響を与えますか?
- 原文ではSEOへの影響には触れていません。ただし、商用サイトでAI生成が多いという結果は、検索エンジンが大量のAIコンテンツをどう評価するかという課題を浮かび上がらせます。現時点では検索エンジンの対応は公表されておらず、今後の動向を注視する必要があります。
用語解説
- Common Crawl
- ウェブページを定期的に収集し公開している非営利のアーカイブ。研究用データとして広く利用される。
- Open Pangram
- 文章がAIによって生成されたかどうかを検出する技術。
- emダッシュ
- 文章中で区切りを示す横棒(―)。AIが好んで使う傾向があるとされる。
- ボットトラフィック
- 自動化されたプログラムによるウェブサイトへのアクセス。人間によるアクセスと区別される。
出典
A third of web pages published since ChatGPT’s launch show signs of AI authorship, study finds
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