
- 5月にAnthropicが逆転、7月は44%対40%でOpenAIをリード
- Q3に入りOpenAIの成長率がAnthropicを上回る
- Ramp利用企業のAI支出割合は3月50%超、7月56%近くに
シェア逆転の構図
米国企業向けクレジットカード・経費管理サービスを手がけるRampは、70,000社以上の米国企業の決済データを基に、AIサービスへの支出動向を公表した。データは請求書支払いと法人カードの利用実績を集計したもので、5月にAnthropicがOpenAIを逆転したことが分かる。7月時点ではAnthropicが約44%、OpenAIが約40%のシェアとなり、OpenAIは首位を奪還できていない。
ただし、このデータはRampを利用する企業に限られる。Rampはシリコンバレー系企業で利用が多いため、業界としてはテック寄りの偏りがあるとみられる。また、実際の支出額は非公表で、割合のみが示されている点には注意が必要だ。
追い上げるOpenAI
Rampのエコノミスト、アラ・カラジアン氏によると、第3四半期に入ってからの成長率は、現時点ではOpenAIがAnthropicを上回っている。ただし、四半期にはまだ1か月残っており、傾向は再び変わり得る。Rampはドル建ての支出額を明らかにしておらず、率のみの公表にとどまる。
この動きの背景には、新しいモデルの評価があるとみられる。カラジアン氏はX上で「GPT-5.6 Solは非常に優れており、開発者の選択肢として広がっている」と指摘した。一方、Anthropicの上位モデル「Fable 5」は、採用と実利用の面で期待外れだったとしている。ただし、Fableは汎用チャットボットではなく特定の用途向けに設計された高価格帯のモデルで、規制当局の要請によるデータ保持期間などの条件も影響している可能性がある。
市場の拡大と流動性
Rampのデータは、両社のシェア争いだけでなく、市場全体の拡大も示している。AIサービスに支出している企業の割合は3月に50%を超え、7月には約56%に達した。少なくともRampの顧客層では、法人のAI導入が進んでいることを示す。
一方で、企業がモデル切り替えに応じてベンダーを乗り換える様子も見える。両社の投資家は、企業のAI支出の「粘着性」に注意を払う必要があると記事は指摘している。OpenAIとAnthropicは市場シェアを奪い合いながらも、収益は拡大している可能性がある。
データの限界と注意点
今回のデータは市場全体を測るものではない。Rampを使わず、アメリカン・エキスプレスなどの経費管理ツールを利用する大企業は含まれない。そのため、法人AI市場全体の傾向を示す一指標と見るのが適切だ。
また、両社はIPOに向けて財務情報を開示していないため、外部から事業実態を確認する手段は限られている。Rampのような決済データは、その数少ない観測手段の一つといえる。
| 項目 | 5月 | 7月 |
|---|---|---|
| OpenAI | 39% | 約40% |
| Anthropic | 41% | 約44% |
| AIに支出する企業の割合 | 50%超 | 約56% |
GPT-5.6 Sol is really good, increasingly the choice for developers.
GPT-5.6 Solは本当に優れており、開発者の選択肢としてますます広がっている。
今後の見通し
今後は四半期末までにこの傾向が続くかが焦点となる。AI業界の変化は速く、数週間で逆転もあり得るため、現時点の成長率がそのまま続くとは限らない。次の判断材料は、両社の新モデルの評価や価格・データ条件の変更、そしてRampが今後公表するかもしれない最新データだ。また、IPOに近づけば財務情報の開示が進み、より確かな市場位置が分かるようになる。現時点では、法人AI市場はまだ安定期に入ったとは言い難い。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、法人向けAI市場でOpenAIとAnthropicの競争が続くことは、選択肢が増えることを意味する。一方で、企業のAI支出がモデル評価次第で動くということは、自社のAI戦略も単一ベンダーに依存せず、複数モデルを比較できる体制が重要になる。Rampのような決済データが市場動向の指標として使われること自体、AI導入が業務支出として定着しつつある証拠でもある。日本企業が海外ベンダーを選定する際も、シェアや成長率だけでなく、データ保持条件や実利用のしやすさといった運用面を確認する必要がある。
気になる点
- Rampのデータは日本企業にも当てはまるのか?
- Rampのデータは米国企業を対象にしている。日本を含む他市場にそのまま当てはまるわけではないが、グローバルなAI製品の競争状況を知る一つの参考にはなる。日本市場の動向を知るには、国内の調査会社や決算情報を待つ必要がある。
- OpenAIとAnthropicのモデルはいくらかかるのか?
- 記事ではGPT-5.6 SolとFable 5の具体的な価格は示されていない。Fableが高価格帯であること、規制当局の要請でデータ保持が30日間必要だったことが言及されているが、料金体系は公表されていない。
- このデータはどれくらい信頼できるのか?
- Rampの利用企業に限定され、テック業界に偏りがある。また、支出額は非公表で割合のみ。市場全体を示すものではないが、70,000社超の決済データに基づく参考指標として見るのが適切だ。
用語解説
- Ramp
- 米国の法人向けクレジットカード・経費管理サービス。企業の決済データを集計する。
- GPT-5.6 Sol
- 記事に登場するOpenAIのAIモデル。開発者の選択肢として広がっているとされる。
- Fable 5
- Anthropicが提供する高価格帯のAIモデル。一般向けチャットではなく特定用途向けとされる。
- IPO
- 新規株式公開。企業が証券取引所に株式を上場して資金調達すること。
出典
OpenAI is gaining on Anthropic with business users, new data indicates
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