
- クラウド版とローカル版の2種類があり、有料ユーザー限定
- コード実行やブラウザ操作などChatにない機能を搭載
- OpenAIの説明は「目的」中心で、実際の仕様公開が不十分
発表の概要と2つの版
OpenAIは2026年7月9日にChatGPT Workを発表した。Simon Willison氏はこれを「非常に混乱しやすいが、強力な製品」と評している。ChatGPT Workにはクラウドで動くバージョンと、デスクトップアプリで動作するローカル版がある。ローカル版は旧Codexアプリを非開発者向けに作り直したものだという。
本記事では主にクラウド版を取り上げる。クラウド版はchatgpt.comやモバイルアプリからアクセスできる。利用には月額20ドル以上のプランが必要で、無料ユーザーや8ドルのGoユーザーは対象外だ。
Chatにはない機能
Workの特徴は、Chatでは利用できない複数のツールが使える点だ。具体的には、インターネットアクセス付きのコード実行環境とヘッドレスChromeブラウザ、セッションをまたいで使える永続ファイルシステム、ChatGPT Sitesの公開機能などがある。
コード実行環境は、GitHubリポジトリのクローンや依存パッケージのインストール、WebサイトやAPIとの連携ができる。ヘッドレスChromeはフォーム入力やスクリーンショット、JavaScriptの実行まで可能だ。これらの機能は、従来のChatにはない。
ChatとWorkの比較
OpenAIは「Chatは回答や説明、ブレインストーミングに、Workは明確な成果物を生むタスクに使う」と説明する。しかしSimon氏は、これでは不十分だと指摘する。実際にはモデル選択や利用可能な機能に違いがある。
WorkではGPT-5.6のSol、Luna、Terraからモデルを選べ、推論レベルもLightからUltraまで指定できる。一方Chatでは5.6 InstantやProなどが選べるが、Workとは異なるラインナップだ。また、WorkのセッションはCodexの利用枠に対して課金される可能性がある。
セキュリティとドキュメントの課題
Simon氏は、Workが「機密データへのアクセス」「信頼できないコンテンツへの接触」「盗んだ情報の外部送信手段」の3つを兼ね備えると警告する。この3つが揃うとプロンプトインジェクションのリスクが高まるという。
また、OpenAIはシステムプロンプトやツールの説明を公開していないため、実際の動作を理解するのが難しい。Simon氏は、正確なドキュメントがあれば記事を書く必要もなかっただろうと述べている。
| 項目 | ChatGPT Chat | ChatGPT Work |
|---|---|---|
| モデル選択 | GPT-5.6 Instantなど | GPT-5.6 Sol/Luna/Terra |
| コード実行 | 不可(ブロックされる) | 可能(Webアクセス可) |
| ヘッドレスChrome | 不可 | 可能 |
| 永続ファイルシステム | セッションごとに破棄 | セッション間で共有 |
| サブエージェント | 不可 | 可能 |
| ChatGPT Sites | 不可 | 可能 |
I’d love to hear more from OpenAI about how they protect ChatGPT Work sessions against prompt injection attacks.
ChatGPT Workのセッションをプロンプトインジェクション攻撃からどう守るのか、OpenAIからの詳細な説明を聞きたい。
今後の見通し
OpenAIはChatGPT Workの発表後も急速に改良を続けている。今後はセキュリティ対策の詳細や、ドキュメントの充実が進むかが注目される。特に、プロンプトインジェクションへの自動レビュー仕組みがどう機能するかが明らかになれば、企業での導入判断がしやすくなるだろう。また、無料ユーザーへの展開や、APIとの関係性も今後の焦点になるとみられる。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、ChatGPT Workはコード実行やWeb操作を伴う作業を自動化できる点で有用です。例えば、定期的なWebスクレイピングや社内データの分析、簡単なWebサイトの構築などが考えられます。ただし、社内データを扱う場合はプロンプトインジェクション対策が必須であり、OpenAIのセキュリティ仕様が明確になるまでは、慎重な検証が必要です。また、デスクトップ版はローカルファイルへ直接アクセスできるため、アクセス権限の管理にも注意が必要です。
気になる点
- ChatGPT Workは無料でも使えますか?
- いいえ、現時点では月額20ドル以上の有料プランでのみ利用できます。無料ユーザーや月8ドルのGoユーザーはアクセスできません。将来変わる可能性はありますが、公表されていません。
- ChatGPT WorkとChatは、どう使い分ければよいですか?
- OpenAIは「回答や説明を求めるときはChat、明確な成果物を生むタスクはWork」と説明しています。ただし実際には、コード実行やブラウザ操作などWorkでしか使えない機能があるため、タスクの内容で選ぶのが現実的です。
- ChatGPT Workのセキュリティリスクは何ですか?
- Simon Willison氏は、機密データへのアクセス、信頼できないコンテンツへの接触、外部への送信手段が揃うことで、プロンプトインジェクションのリスクが高まると指摘しています。OpenAIの具体的な対策はまだ明らかにされていません。
用語解説
- コード実行環境
- AIがPythonなどのプログラムを実行できるサンドボックス環境。ファイルの生成やデータ処理が可能。
- ヘッドレスChrome
- 画面のないChromeブラウザ。Webページの読み込みや操作、スクリーンショットを自動で行える。
- プロンプトインジェクション
- 外部からの不正な指示をAIに読み込ませて、本来の操作を妨げる攻撃手法。
- サブエージェント
- メインのAIが並列で動かす補助的なAIエージェント。複雑なタスクを分割して処理する際に使う。
- Cloudflare Workers
- エッジで実行できるサーバーレスプラットフォーム。ChatGPT Sitesの公開に使われている。
出典
Understanding ChatGPT Work
https://simonwillison.net/2026/Aug/30/understanding-chatgpt-work
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