
- Copilotがチャット・コード・エージェントの3タブ構成の「スーパーアプリ」として正式発表された
- 旧ScoutのAutopilotはテナント内にID・メモリ・計算環境を持つ企業向けエージェント
- Cowork・Code・Autopilotは使用量ベース課金、管理者はFinOps for AIで支出管理
正式発表された新Copilot
米Microsoftは、新しいCopilotアプリを正式に公開した。チャット・コーディング・エージェントという3つのAI機能を1つのインターフェースにまとめたもので、同社は「スーパーアプリ」と呼んでいる。前月に予告されていたものの正式なお披露目となる。アプリはHome、Code、Autopilotの3つのタブで構成される。
HomeはCopilot ChatとCoworkを統合した、Copilot利用者の既定の着地画面になる。重要なメールや会議依頼、Teamsのスレッドなどをまとめて見せるパーソナライズされたダッシュボードとして、Today機能を内部に持たせる計画も示されている。MicrosoftのAI at work担当CMOのJared Spataro氏は「Homeは現在地を確認し、提案を得て、作業を再開する場所だ」と説明している。
CodeタブとAutopilot
Codeタブは、知識労働者向けのアプリとしては意外な追加だと記事は指摘する。誰でもアプリやトラッカー、ダッシュボード、自動化を作成し、クラウドでホストされた社内アプリとして同僚と共有できる。Spataro氏によれば、GitHub Copilotと同じ基盤技術で動作し、サンドボックス環境で実行され、テナント内で安全にホストされるという。
Autopilotは、今年のBuildで発表されたAIパーソナルアシスタント「Scout」を改名したものだ。Spataro氏は「デジタル同僚」と表現している。当初はデスクトップアプリとして提供されていたが、今回のAutopilotはクラウド版にあたり、利用者が眠っている間も動作し続ける。他のAIエージェントと同様に専用のクラウド上のコンピュータ環境を持ち、Teamsチャンネルの監視や定例業務の実行、フォローアップなどを任せられる。
企業向けの作り込みと課金
他社のAIエージェントとの違いとして、MicrosoftはAutopilotをエンタープライズ向けに仕上げた点を挙げている。テナント内に独自のID、メモリ、コンピュータ、ワークスペースを持ち、Microsoft IQ上に構築されているため組織の実際の業務を理解するという。TeamsやOutlook、チャット、チャンネル、ドキュメントといった既存の作業場所に現れ、同僚のように@メンションできる。権限、監査、ガバナンスも背後で機能するとしている。
課金の考え方も機能ごとに分かれる。通常のCopilotライセンス(ユーザーサブスクリプションライセンス)ではChatとWord、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsでCopilotが使える。Cowork、Code、Autopilotは使用量ベースの課金となり、長時間動くエージェント機能やAstra、Fableといったモデルの利用が使用量に応じて請求される。タスクに応じてモデルを選ぶ自動モデルピッカーが用いられ、IT管理者は新たに提供されるFinOps for AIでAI支出を管理する必要がある。
提供時期と位置づけ
提供時期は段階的だ。HomeとCodeタブは早期アクセスプログラム「Frontier」向けに「今後数週間で」展開され、Autopilotは今月中にプライベートプレビューに入る。Codeは年内にMicrosoft 365 PremiumとProの購読者向けプレビューも予定されている。
Microsoftは、OfficeがPC時代の仕事を定義したのと同じように、新しいCopilotはAI時代の仕事を定義すると位置づけている。Nadella CEOはCopilotを新しいOSと呼び、「あらゆるモデル、あらゆるフォームファクター、あらゆるタスクにまたがる、仕事のための新しいOSとしてCopilotを作っている」とXに投稿した。一方で、消費者向けではClaudeやChatGPTに比べてCopilotは振るわず、Google、OpenAI、Anthropic、Metaなどがひしめく中で「仕事のためのAI」で追いつけるかは未知数だと記事は見ている。
| 項目 | Home | Code | Autopilot |
|---|---|---|---|
| 役割 | Copilot ChatとCoworkを統合した既定の着地画面 | アプリやダッシュボード、自動化を作成・共有する | 個人向けのAIアシスタント(旧Scout) |
| 主な機能 | Todayでメールや会議依頼、Teamsスレッドをまとめて表示(計画) | GitHub Copilotと同じ基盤技術、サンドボックスで実行、テナント内でホスト | クラウド上の自分のコンピュータでTeams監視や定例業務、フォローアップを代行 |
| 提供時期 | Frontierプログラムへ今後数週間で展開 | Frontierへ今後数週間、年内にMicrosoft 365 Premium/Pro向けプレビュー | 今月中にプライベートプレビュー |
Just as Office defined work for the PC era, the new Copilot is built to define it for the AI era.
OfficeがPC時代の仕事を定義したように、新しいCopilotはAI時代の仕事を定義するために作られている。
今後の見通し
今後数週間から数カ月で、Frontierプログラム参加者によるHomeとCodeタブの評価、Autopilotのプライベートプレビュー、年内のCodeのMicrosoft 365 Premium/Pro向けプレビューが順に進むとみられる。使用量ベース課金の実額や、長時間動くエージェントの実際の消費量が明らかになれば、企業が導入コストを見積もれるようになる。日本を含む各地域での提供時期、Frontierへの参加条件、既存のCopilotライセンスとの具体的な関係が公表されれば、導入判断がしやすくなる。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
Microsoft 365を業務基盤にする日本のIT企業にとって、Copilotの形が変わることはライセンス管理とコスト管理の前提が変わることを意味します。特にCowork、Code、Autopilotが使用量ベース課金になる点は、全社展開時の予算を読みにくくするため、FinOps for AIのような支出管理の仕組みをIT部門が先に用意する必要が出てきます。一方でCodeタブは、業務部門の担当者が自分でアプリや自動化を作り社内共有できるため、いわゆる市民開発の裾野が広がる可能性がある一方、テナント内での管理・統制の設計が問われます。Autopilotが権限や監査、ガバナンスを伴ってTeamsやOutlookに現れる設計は、統制を重視する日本企業の要件と相性が良いと考えられますが、提供時期や価格は未公表です。
気になる点
- 日本企業でもこの新しいCopilotを使えるのか
- 記事には地域に関する言及がなく、Frontierプログラム、Autopilotのプライベートプレビュー、Microsoft 365 Premium/Pro向けプレビューという提供段階だけが示されています。日本での提供時期や対象は現時点で公表されていないため、今後の発表を待つ必要があります。
- 費用はどう変わるのか
- 通常のユーザーサブスクリプションライセンスに加えて、Cowork、Code、Autopilotは使用量ベースの課金になります。長時間動くエージェント機能やAstra、Fableなどのモデル利用が使用量に応じて請求され、IT管理者はFinOps for AIで支出を管理するとされています。単価は記事に記載がありません。
- 既存のGitHub CopilotやMicrosoft 365から何か移行が必要か
- 記事では、CodeタブがGitHub Copilotと同じ基盤技術で動くと説明されているだけで、移行作業の必要性には触れていません。既存のCopilotライセンスは引き続きChatとWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsをカバーします。既存環境との詳細な関係は今後の情報待ちです。
用語解説
- AIエージェント
- 指示を待つだけでなく、目標に向けて複数の手順を自律的に実行するAI。本記事ではTeamsの監視や定例業務の代行などを指す。
- テナント
- クラウドサービス上で組織専用に区切られた領域。IDやデータ、権限設定が組織単位で管理される。
- サンドボックス
- 外部に影響を与えないよう隔離された実行環境。Codeタブで作ったアプリはここで動作するとされる。
- Microsoft IQ
- Copilotなどが組織の業務文脈を理解するためのMicrosoftの基盤。原文では詳しい説明はない。
- FinOps for AI
- AI利用にかかるコストを可視化・管理するためのMicrosoftの新機能。IT管理者が支出を統制する用途。
- Frontierプログラム
- Microsoftが新しいAI機能をいち早く試せる早期アクセスプログラム。
出典
Microsoft thinks its new Copilot ‘super app’ will be as influential as Office
https://theverge.com/news/1000532/microsoft-copilot-super-app-chat-coding-autopilot
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