この記事について海外で公開された情報をもとにAIが要約・解説した記事です。原文の翻訳ではありません。正確な内容は記事末尾の出典元をご確認ください。
この記事の要点
  • コードの60%をAIが生成、機能出荷は前年比約8割増、PR処理量は約1.6倍
  • 社内のコンテキストグラフ「Everest」が新サービス開発を短縮、空港送迎は約6週間
  • サポートの約半分をAIが解決、コーディングは最先端、検索は小型モデルを使う方針

何が起きたのか

AirbnbのCTOに就任したAhmad Al-Dahle氏は、2023年から2025年にかけてMetaでオープンソースのLlamaモデルの立ち上げを主導した人物です。同氏はLatent Spaceの取材に対し、Metaでモデル能力の改善サイクルを理解したうえで、次の挑戦は「モデルを大規模に本番展開すること」だと語りました。Airbnbでは、ツールによって働き方そのものを変え、そのシステムを本番環境で価値ある形に展開することを目標に掲げています。Airbnbは2008年創業、2020年に上場し、記事執筆時点の時価総額は約930億ドルです。

同氏はAirbnbが今や「AIに染まっている(AI-pilled)」ことを示す数字として、コードの60%がAIによって書かれていること、機能追加・改善の出荷数が前年比で約8割増えたこと、平均的なエンジニアのプルリクエスト処理量が約1.6倍になったことを挙げました。これらは同社の取り組みを示す数値として紹介されています。ただし、それぞれをどのように計測したかの定義は原文では説明されていません。

コードが成果物になる

変化の中心はソフトウェア開発プロセスの組み替えです。従来はプロダクト要件を定義し、Figmaでデザインし、エンジニアが実装し、最後に本番テストを行うという流れで、各工程でチーム間の引き継ぎが発生していました。Airbnbでは現在、プロダクト・デザイン・エンジニアリングの各チームが直接プロトタイプを扱う形に移行しています。Al-Dahle氏は、この時間の短縮が従来型ソフトウェア企業の飛躍にとって最大の削減項目の一つになったと述べています。

この変更の副産物として、チームは要件定義書のような「成果物(artifact)」ではなく、コードそのものを議論の対象にするようになりました。同氏は、過剰な成果物の生成から離れ、コードとプロトタイプを推論の対象としたと説明しています。日本の開発現場でいう設計書や仕様書中心の進め方とは、前提が大きく異なるアプローチです。

Everestと顧客体験

顧客向けの領域で最初にAIを導入したのはカスタマーサポートでした。Al-Dahle氏はこれを「最も難しい問題」と表現しています。誤りが起きたときの影響とリスクが非常に大きいためです。現在、サポートチケットのおよそ半分がAIだけで解決されており、これは同社の第2四半期決算で示された約45%という数字と整合します。同氏によれば、鍵は本番投入前に合成データで徹底的にテストすることです。

社内には「Everest」と呼ばれる組織的なコンテキストグラフがあります。LLM、埋め込み(embeddings)、AIベースの検索などの技術を使ってグラフを構築・照会する仕組みです。これにより、今年立ち上げた食料品の配送と空港送迎という2つのサービスを素早く市場に出すことができました。決算報告では、食料品は8〜9か月、空港送迎は約6週間で開発できたとされています。また、コンテキストグラフがあることで、専門知識を持たないジェネラリストが専門性の高いコード領域を担当できるようになったといいます。

モデル選びと非同期エージェント

Airbnbは「マルチモデル企業」であり、フロンティアモデルとオープンモデルを混在させています。自社でのポストトレーニングと強化学習は主にオープンモデルで行い、本番用途向けに少なくとも10種類のカスタマイズモデルを展開しているといいます。コスト・性能・遅延のパレートフロンティアに沿って評価し、用途ごとに異なるトレードオフを選んでいます。コーディングは遅延を許容できる一方で誤りのコストが大きいため最先端モデルを、利用規模が大きく遅延に敏感な検索には小型の専用モデルを使う方針です。

社内エージェント「AirChat」には組織のコンテキストを扱うMCPが組み込まれています。さらにAl-Dahle氏が次の大きな変化と見るのが、コンテナ内で動きイベントで起動する非同期エージェントです。監視システムのアラートが発火するとエージェントが起動してトリアージを行い、人間のエンジニアはエージェントが提案したPRをレビューします。アラートが一時的なものだと判断できれば、エージェントがインシデントを自ら閉じることもあるといいます。

課題と未公表の点

Al-Dahle氏は、AIネイティブ化で懸念している点として、ジュニアエンジニアが職人芸や判断力を身につけられるかを挙げています。シニアは長年の本番運用と失敗を通じて判断力を得ており、AIが多くの作業を担う環境ではその経験が積みにくくなります。対策として、AIがPRを生成した場合でも、すべてのエンジニアが自分が作ったものを説明できなければならないという原則を強く推しているといいます。

組織論としては、機能単位ではなく成果やミッション単位でチームを編成することが重要だと述べています。「機能開発で組織している企業はAI時代に苦しむ」というのが同氏の見方です。なお、非同期エージェントの全社展開時期や、コード生成率の計測方法、Everestの具体的な実装などは原文では明らかにされていません。

Airbnbがコーディングと検索でモデルを使い分ける基準
観点コーディング検索
優先する特性誤りの少なさ(遅延は許容)低遅延(利用規模が大きい)
採用するモデル最先端のフロンティアモデル小型・高速・安価な専用モデル
その理由欠陥1件あたりのコストが大きい狭い用途ではポストトレーニングで高性能化できる
原文からの引用
One of the things I'm pushing very strongly is that every engineer must be able to explain, even if an AI generated the PR, must be able to explain what they built.

私が非常に強く推し進めていることのひとつは、たとえAIがPRを生成したとしても、すべてのエンジニアが自分が作ったものを説明できなければならない、ということです。

今後の見通し

Al-Dahle氏の狙いは、非同期エージェントをマーケットプレイス全体に広げることです。不正行為の監視、信頼違反、マーケットプレイスの品質、ソフトウェアの欠陥といった領域を、大量のエージェントで自動化・管理する構想を示しています。ただし、これがいつ、どの範囲で実現するかは示されていません。判断材料としては、今後の四半期決算でサポートの自動化率や出荷量の伸びがどう推移するか、非同期エージェントの適用範囲がどこまで広がるかが挙げられます。また、コードの60%という数字がどのように計測されたのかが明らかになれば、他社が自社の状況と比較しやすくなるとみられます。

日本の開発者・IT企業にとっての意味

日本のIT企業にとってこの事例が示すのは、AI導入が「ツールの配布」ではなく開発プロセスの再設計とセットだという点です。要件定義書やデザイン工程を挟む逐次的なハンドオフをやめ、プロトタイプとコードを議論の中心に置くことで、Airbnbは機能出荷を増やしたと説明しています。同様の効果を狙うなら、まず自社の開発フローでどの工程が待ち時間になっているかを可視化する必要があります。また、用途ごとに評価セットを作り、コスト・性能・遅延のトレードオフを選ぶという考え方は、モデル選定の指針として実務に取り入れやすいものです。さらに、AIが生成したコードでも担当者が説明責任を持つという原則は、ジュニア育成と品質保証の両面で参考になります。ただし、60%という数値の計測方法は示されておらず、そのまま自社の目標値にはできません。

気になる点

「コードを成果物にする」開発プロセスへ、日本の組織でも移行できるのでしょうか。
Al-Dahle氏は組織論として、機能単位ではなく成果やミッション単位でチームを編成することが重要だと述べています。また、プロダクト・デザイン・エンジニアリングが引き継ぎを挟まず直接プロトタイプを扱う形へ移行したと説明しています。ただし、日本の組織に当てはめた場合の具体的な進め方や所要期間は原文では触れられていません。
サポートチケットの約半分をAIが解決というのは、どう実現しているのですか。
同氏によれば、まずモデルとエージェントを作り、本番投入前に合成データによる大量のテストを用意することが鍵だといいます。同時に、安全性に関わる問題など人間の支援が必要な領域は、意図的にエージェントに任せていないと説明しています。日本企業が同じ水準を目指す場合に必要なデータ量や期間は原文では示されていません。
小型モデルがフロンティアモデルを上回ることはあるのですか。
Al-Dahle氏は、狭い用途においては、非常に小さく高速で安価なモデルをポストトレーニングすることでフロンティアを超えられたと述べています。同社は用途ごとに評価セットを用意し、検索では本番からサンプリングした検索クエリで測定しているといいます。ただし、どのモデルがどの程度上回ったかの具体的な数値は原文には記載されていません。

用語解説

コンテキストグラフ
コードベースや組織の知識をグラフ構造で表し、LLMや検索技術で照会できるようにした仕組み。
フロンティアモデル
各社が最先端の性能を競って提供する大規模なAIモデル。最高性能だがコストや遅延が大きい傾向がある。
ポストトレーニング
事前学習済みのモデルに追加のデータで調整を加え、特定の用途に最適化する工程。
MCP
AIエージェントが外部ツールや組織の情報源に接続するためのプロトコル。文脈の受け渡しに使われる。
合成データ
実データではなくAIなどで生成し、テストや学習に使うデータ。本番投入前の検証に利用される。
非同期エージェント
常時待機するのではなく、アラートなどのイベントをきっかけに起動して処理を進めるエージェント。

出典

Inside-Out AI: Rebuilding Airbnb Behind the Scenes and Across the Guest Experience

Latent Space / Richard MacManus / 2026年10月2日

https://latent.space/p/airbnb

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