
- Claude ModsはClaude Code内で動くTypeScript/JavaScript製のプラグイン
- プロンプトやツール呼び出しなどのイベントにフックし、表示と挙動を変える
- 標準で6個を搭載。Claude自身に自然言語でmodを作らせることもできる
Claude Modsとは何か
Claude Modsは、TypeScriptまたはJavaScriptで書いた関数をプラグインとしてClaude Codeの内部で動かす仕組みである。CLIとデスクトップの両方で、インターフェースの見た目と振る舞いをカスタマイズできる。プロンプトの送信、ツール呼び出し、画面の描画といったイベントに反応し、その内容を観察したり、描画の仕方を変えたり、既定の処理の代わりに独自の処理を実行したりできる。
筆者はこれをエージェントハーネス向けのミドルウェアだと説明する。ハーネスとは、モデルと実行環境の間に立ち、指示の受け渡しやツール呼び出し、ファイル編集を仲介する層を指す。Modsはその実行と描画の流れにコードを差し込み、実行時のアプリケーションの挙動を変える。
Anthropicは6つのmodを標準で同梱している。agents-md、diff、plugin-authoring、sec-default、telemetry、you-should-knowの6つで、/pluginからInstalledを開くとBuilt-inとして並ぶ。このうち既定でオフになっているのはyou-should-knowだけだという。
ハーネスの向きが反転する
筆者の整理によれば、エージェントハーネスはもともとエージェントと、それが動くマシンの間のインターフェースとして始まった。利用者がプロンプトを出し、エージェントがコマンドを送り、ファイルを編集し、ツールを呼ぶ。それが次第に、エージェントが人間と接するための手段へと変わりつつあるという。
その残った部分を筆者は「Attention Interface」と呼ぶ。モデルがハーネスの機能を重みに取り込むほど、人間と向き合う層の比重が増す。いつエージェントが割り込むか、何を見せるか、どの判断を人間に求めるかを決める層だという考え方である。
Claude Modsはその初期形にあたり、しかも利用者自身が形を決められる点が特徴とされる。Claude Codeにはmodの書き方を教えるスキルが内蔵されており、自然言語で依頼すればClaudeがmodを書いてくれる。人間とエージェントが一緒に、人間側のインターフェースを作る構図になる。
実用例の2つ
1つ目は標準搭載のyou-should-knowである。メインのエージェントを横から観察する別エージェントが動き、見落としやすい情報をプロンプトの上に表示する。筆者の例では、UI文言の修正を依頼したエージェントが作業を終えた後、編集対象のCompareView.swiftに未コミットの変更があり、さらに約45のファイルにも未完了の作業が残っていることを指摘した。後から変更を破棄すると、その未完了の作業も失われるという警告である。
2つ目は筆者が自作したNext Steps Supervisorで、ファイル編集やコマンド実行、8回以上のツール呼び出しを含むターンの後にだけ動く。最大6件の情報を提示したうえで、次に取るべき一手をクリック可能なボタンとして示し、押すとその指示がClaude Codeへのメッセージとして送られる。筆者が公開しているオープンソースのプラグインModSmithの一部として提供されている。
この2例は、モデルの性能ではなく、人間がどこで何を見せられるかによって作業の質が変わることを示している。もっとも、後述するように常時発火する設計はノイズにもなりやすい。
他社の取り組みとの違い
OpenAIは10月7日にGPT-6をChatGPT内に投入し、あわせてIntelligent UIと呼ぶ新しいインターフェースを発表した。テキストだけで答えるのではなく、グラフや地図、チェックリスト、フォーム、割り勘や貯蓄の計算のような小さなツールを、回答と同時にモデルが生成する。どのような形で人間の判断を仰ぐかをモデルが決める点で、これもAttention Interfaceだと言える。
Cursorは別の方向から同じ問題に取り組んでいる。PR Routing & Approvalは、コードの所有権とコミット履歴に基づいてレビュアーを割り当て、リスクの低いPRを自動承認できる。リスクスコアと利用者が設定したしきい値、BugbotとSecurityレビュアーの指摘、リポジトリ内のポリシーファイルを突き合わせて判断する。承認ポリシー自体を書き換えるPRについては、そのPRのレビューを緩めるのではなくベースブランチ側のポリシーを読む仕組みになっており、エージェントがルールを変えて自分のPRを通すことはできない。ドキュメントには完全なコードレビューの代替ではないと明記されている。
3つに共通するのは、何が人間の注意を引くかを設計するという発想である。違いは設計者だ。ChatGPTはモデルが、Cursorはチームが書いたポリシーが、Claude Modsは利用者とClaudeがコードで作る。
ノイズ・コスト・信頼という課題
筆者が挙げる1つ目の課題はノイズである。Next Steps Supervisorはファイル編集やコマンド実行、8回以上のツール呼び出しの後に動くが、実際にはほぼ毎ターンがその条件に当てはまる。10月15日に導入して以降、Claude Codeでの111ターンのうち99ターンが該当したという。ほぼ毎回話しかけられると、やがて読み飛ばすようになり、注意を設計するという目的が損なわれる。
2つ目はコストである。監督役のmodは毎回、会話を分岐させて読み直す。多くはプロンプトキャッシュから供給されるが、modのREADMEは5万トークンのセッションで1回あたり約5〜6kの入力換算トークン、キャッシュが切れている場合はさらに増えると見積もっている。
3つ目は信頼である。modは利用者の権限で動くコードであり、Anthropicのドキュメントは、読み込まれた後はファイルの読み書き、送信したすべてのプロンプトの閲覧、利用量の消費が可能だと明記している。さらにmodはサンドボックス化されておらず、--safe-modeで起動しても標準搭載のmodは動き続ける。筆者は自分で書いたものか同梱のものは許容しつつ、第三者のものはコードを読んでから入れるべきだと述べている。
一方で、modは自分で直せるのが強みだと筆者は言う。監督役がうるさいセッションでは/supervisor offで切り、自作のmodなら発火条件そのものを変えられる。
| 項目 | Claude Mods | ChatGPT Intelligent UI | Cursor PR Routing |
|---|---|---|---|
| 設計する主体 | 利用者とClaudeがコードで作る | モデルが回答ごとに設計 | チームがポリシーを書く |
| 設定できる範囲 | ループの任意の地点にフック可能 | 発表時に言及された操作は視覚効果を抑える程度 | ルールは決められるが対話の流れは固定 |
| 導入の手間 | 自分で書くかClaudeに依頼 | ゼロ | ポリシーファイルの記述 |
Rather than the harness pointing from the agent to the machine, you point it from the agent to the human operator, and the harness becomes a way to interface with human attention.
ハーネスをエージェントからマシンへ向けるのではなく、エージェントから人間のオペレーターへ向ける。するとハーネスは、人間の注意とやり取りするための手段になる。
今後の見通し
筆者の見立てでは、ハーネスはモデルをエンジンとして他社がその上に作るプラットフォームになっていく。ブラウザがウェブアプリの土台になったのと同じ構図だという。ただし現時点でClaude Modsは、使う人によって当たり外れが出る段階とみられる。ノイズを抑える発火条件の設計や、コストの実測値がどこまで共有されるかが判断材料になる。第三者製modのレビュー体制や権限の絞り込みがどこまで整うかも、業務利用を左右する要素だろう。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
エージェント型のコーディングツールは、モデルの性能差だけでは選ばれにくくなりつつある。Claude Modsは、承認フローやレビュー文化、チケット運用といった日本企業固有の進め方を、ツール側の表示と割り込みタイミングに落とし込める可能性を示す。たとえばレビュー必須の変更を検出したときだけ人間に判断を仰ぐ、といった設計を自社で書ける。一方でmodは利用者の権限で動くサンドボックス外のコードであり、社内配布するならコードレビューと権限設計が前提になる。Cursorのようにポリシーをリポジトリに置いて強制する方式と組み合わせるか、modの自由度を取るかは、統制と引き換えの判断になる。
気になる点
- Claude Modsを使うと追加料金はかかりますか
- mod自体の価格は原文に記載がない。筆者はコストとして、監督役のmodが会話を分岐させて読み直す分のトークン消費を挙げ、5万トークンのセッションで1回あたり約5〜6kの入力換算トークン、キャッシュ切れではさらに増えると紹介している。料金体系は公表されていない。
- セキュリティ面で何に注意すべきですか
- Anthropicのドキュメントは、modが読み込まれた後はファイルの読み書き、送信したすべてのプロンプトの閲覧、利用量の消費が可能で、サンドボックス化されていないと明記している。--safe-modeで起動しても標準搭載のmodは動き続ける。自作か同梱のもの以外はコードを読んでから入れるべきだと筆者は述べている。
- 自分でコードを書けなくても使えますか
- Claude Codeにはplugin-authoringというスキルが内蔵されており、自然言語で依頼すればClaudeがmodを書いてくれる。ただし生成されたコードは自分の権限で動くため、中身を確認せずに入れるのは信頼の観点で勧められない。
用語解説
- エージェントハーネス
- モデルと実行環境の間に立ち、プロンプト入力やツール呼び出し、ファイル編集を仲介する層。
- ミドルウェア
- 既存の処理の間に挟まり、前後の処理を横取りしたり変更したりするソフトウェア。
- Attention Interface
- エージェントがいつ人間に割り込み、何を見せ、どの判断を求めるかを決める層という筆者の呼び方。
- プロンプトキャッシュ
- 同じ入力の計算結果を再利用し、API利用のコストや遅延を抑える仕組み。
- サンドボックス
- プログラムを隔離された環境で動かし、ファイルやネットワークへの影響を制限する仕組み。
出典
Claude Mods: Flipping the Harness Inside Out
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