この記事について海外で公開された情報をもとにAIが要約・解説した記事です。原文の翻訳ではありません。正確な内容は記事末尾の出典元をご確認ください。
この記事の要点
  • GPT-5.6 SolのARC-AGI-3スコアは7.8%だったが、2つの設定で約3倍に向上
  • 原因は推論の破棄と履歴の切り詰めというハーネス設定にあった
  • retained reasoningとcompactionはResponses APIで利用できる

低スコアの謎

OpenAIは2026年7月29日、GPT-5.6 SolがARC-AGI-3で7.8%という低いスコアにとどまった原因を調査した結果を発表した。GPT-5.5では0.4%だった。このモデルは数学の未解決問題であるcycle double cover conjectureを解いたり、Pokémon FireRedを攻略したりする能力を示しており、当初は結果に戸惑ったという。

ARC-AGI-3は、説明なしで2Dパズルゲームのルールを学習し推論できるかを測るベンチマークだ。公式ハーネスはツールなしの汎用的な設計で、モデルの欠点が見えやすく、比較が公平になるよう意図されているという。デモゲームはarcprize.org/tasksで公開されている。

原因はハーネス設定

調査の結果、公式ハーネスには2つの問題があった。1つ目は、ゲームの操作ごとにモデルの非公開推論がすべて破棄されること。2つ目は、履歴が長くなると古い行動が自動的に切り捨てられるrolling truncationを使っていたことだ。このため、モデルは過去の思考も行動も思い出せず、毎回ゲームを解釈し直す状態になっていた。

OpenAIは、モデルが賢く見えなかった原因はモデル自体ではなくハーネス設定にあると判断した。そして自社製品で使っている環境と同じにするため、Responses APIでハーネスを実装し直した。Responses APIは、前回のレスポンスIDを渡すだけで推論の保持を自動で行える。

有効だった2つの設定

有効にしたのは、retained reasoningとcompactionの2つの設定だ。前者は会話履歴に推論メッセージを残す設定で、後者は会話が長くなったときに要約して文脈を維持する設定である。これにより、モデルは毎ターンゼロから考える必要がなくなり、学んだことを長期的に使えるようになった。

その結果、GPT-5.6 Solのスコアは約3倍になり、出力トークンは6分の1に減った。OpenAIによると、同社の実装ではコンテキスト上限を17万5,000トークンとしており、公式ハーネスの17万5,000文字とほぼ同等の挙動になるという。ゲームのグリッドは文字とトークンが1:1に対応するためだと説明されている。

教訓と推奨事項

OpenAIは、ベンチマークの結果はモデル単体を測っているのではなく、API設定やハーネス設計など見えにくい選択の影響も同時に測っていると強調する。過去にも低スコアの原因が、評価実行ツールが推論メッセージを捨てる汎用ハーネスだったことがあったという。今回の事例は、評価環境の設計が結果を大きく左右することを示している。

具体的な推奨事項としては、旧来のChat Completions APIではなくResponses APIを使い、retained reasoningとcompactionを有効にすることが挙げられている。モデル比較をする場合も、ChatGPTやCodexでの実運用に近い設定を使うべきだとしている。OpenAIはARCの分析が調査のきっかけになったとして、謝意を表明した。

原文からの引用
ARC’s reasoning was that a simple harness makes model shortcomings more visible and makes model comparisons more fair.

ARCは、シンプルなハーネスによってモデルの欠点がより見えやすくなり、モデル間の比較がより公平になると考えた。

日本の開発者・IT企業にとっての意味

日本のIT企業や開発者にとって、この発表はモデル選定や評価方法の重要性を再認識させる内容だ。同じモデルでもAPI設定やハーネス次第でベンチマークスコアが大きく変わるため、公開されている数値をそのまま信じるのは危険である。自社のユースケースに近い条件、特にエージェント的なワークロードや長い対話を扱う場合は、推論の保持や履歴の要約が性能に直結する。OpenAIのResponses APIはこれらの設定を簡単に扱えるが、旧APIで同等の動作を実現するには追加の実装が必要になる。評価環境を本番に近づけることは、予期しない性能低下を防ぎ、モデル比較の妥当性を高める実務上の対策となる。

用語解説

ARC-AGI-3
AIエージェントが2Dパズルゲームのルールを説明なしで学習・推論できるかを測るベンチマーク。
retained reasoning
モデルの内部推論を会話履歴に保持する設定。毎回ゼロから考え直すのを防ぐ。
compaction
会話が長くなったときに履歴を要約して文脈を維持する機能。
rolling truncation
コンテキスト上限を超えると古いメッセージから破棄する方式。
Responses API
OpenAIが提供するAPIで、前回のレスポンスIDを渡すと推論の保持などが容易にできる。

出典

How enabling two settings tripled our scores on the ARC-AGI-3 benchmark

OpenAI / 2026年7月30日

https://openai.com/index/how-two-settings-tripled-our-arc-agi-3-scores

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