- MCP 2.0でステートレス化、HTTPリクエスト1回でツール呼び出しに
- Willison氏がmcp-explorerなど3つのツールを公開
- エージェントにはシェルよりMCPの方が安全と指摘
MCP 2.0登場の背景
MCP(Model Context Protocol)は、LLMを搭載したエージェントに外部ツールを公開するための標準プロトコルです。Anthropicが2024年11月に発表し、2025年には大きな注目を集めましたが、その後はAnthropicが提唱するSkillsと呼ばれる機能に注目が移りつつありました。
2026年7月28日付けで仕様が更新され、MCP 2.0としてステートレスな通信方式が導入されました。Simon Willison氏は、この変更がMCPにとって最も重要な変化だと述べ、自身の興味を再燃させたとしています。
ステートレスMCPで実装が簡潔に
従来のMCPは、セッションを初期化してMcp-Session-Idを取得するリクエストと、実際にツールを呼び出すリクエストの2回が必要でした。ステートレスMCPでは、MCP-Protocol-VersionやMcp-Methodなどのヘッダ情報を使うことで、1回のHTTPリクエストでツール呼び出しが完了します。
セッションIDの管理が不要になるため、サーバ側の実装が簡単になり、水平スケーリングもしやすくなります。Willison氏は、このシンプルさによりクライアントとサーバの双方で実装の複雑さが下がったと評価しています。
Willison氏の3つのプロジェクト
Willison氏は今週、MCP関連のツールを3つ公開しました。1つ目はmcp-explorerで、MCPサーバが公開しているツールの一覧表示や、詳細なスキーマの確認、実際の呼び出しをコマンドラインから行えるCLIツールです。uvxを使えばインストール不要で試せます。
2つ目はdatasette-mcpで、DatasetteのインスタンスにMCPエンドポイントを追加するプラグインです。list_databases()やexecute_sql()(読み取り専用)といったツールを提供し、エージェントやChatGPT、ClaudeからSQLクエリを実行できるようになります。
3つ目はllm-mcp-clientで、Willison氏が開発しているLLMコマンドラインツールにMCPクライアント機能を追加するアルファ版プラグインです。例えば、MCP経由でブログのメモ件数を取得するといったことができます。
MCPの安全性と今後の展望
Willison氏は、エージェントにシェルとインターネットアクセスを自由に与えるよりも、MCP経由でツールを公開する方が安全だと述べています。MCPツールは監査と制御がしやすく、ノートPCで動作する小さなモデルでも扱えるほどシンプルだからです。
一方で、MCPにもプロンプトインジェクションのリスクがあると以前から指摘されています。それでも、任意のコマンド実行を許す汎用エージェントよりも、事故の原因を追跡しやすいというのがWillison氏の見解です。今後は、機密性の高いアプリケーションをLLM上に構築する際に、MCPを積極的に利用していくと述べています。
MCP tools are easier to audit and control, and simple enough that smaller models that run on a laptop can still drive them reasonably well.
MCPツールは監査と制御がしやすく、ノートPCで動作する小規模なモデルでも十分に扱えるほどシンプルだ。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業や開発者にとって、MCP 2.0への移行はエージェント連携の実装コストを引き下げる可能性があります。ステートレス化により、サーバ側でセッションを管理する必要がなくなり、既存のWebサービスにMCPエンドポイントを追加しやすくなります。Willison氏が公開したdatasette-mcpは、データベースを自然言語で操作するAPIを提供する際の参考例です。また、エージェントに直接シェルを与えるのではなく、MCPを使って操作可能なツールを限定する設計は、セキュリティ監査の容易さという点で企業システムへの導入に適していると言えるでしょう。
用語解説
- MCP
- Model Context Protocolの略。LLMエージェントに外部ツールを公開するための標準プロトコル。Anthropicが提唱
- ステートレス
- サーバ側にセッション状態を保持せず、各リクエストが独立して処理される方式。MCP 2.0で採用された
- Datasette
- SQLiteデータベースをWeb上で簡単に公開・操作できるPython製のツール
- uvx
- Pythonパッケージを一時的に実行するためのuvコマンド。インストール不要でツールを試せる
出典
Stateless MCP has recaptured my interest (and inspired mcp-explorer and datasette-mcp)
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