
- 1,075万ドル調達、衛星レーザーで海底ケーブル代替を目指す
- 大気の影響を補正し、2.4Tbpsの通信を目標に開発
- 2027年末にデモ衛星打ち上げ、まず800Gbps〜1Tbpsを実証
調達と事業内容
EONは2026年5月創業のスタートアップで、General CatalystとAndreessen Horowitzから1,075万ドルを調達した。共同創業者はCEOのCharlie Horowitz氏とCTOのTyler Presser氏だ。構想は、軌道上の衛星にレーザー通信機を搭載し、データセンター間を高速で結ぶというもの。
海底ケーブルは国際データ通信の基盤だが、敷設や修理に時間がかかり、通信量の増大に対して「もろい」側面がある。無線通信では帯域幅が不足するため、レーザーによる宇宙通信が代替手段として注目されている。
2.4Tbpsという目標
既存の衛星通信網は、海底ケーブル並みの200Tbps以上の速度を実現できていない。NASAの月探査や民間企業による実証実験では2.5Gbps程度にとどまっていた。
EONは初期目標を2.4Tbpsとし、大気による信号の乱れや雲の影響を補正する技術を開発する方針だ。約20基の衛星で大陸間の専用リンクを提供し、地上局を冗長化して天候データに基づき運用する計画である。
競合との比較
Blue OriginはTeraWaveという5,048基の衛星網で最大6Tbpsを目指している。EONの計画は規模では小さいが、衛星数を絞ることで早期の運用開始が可能という利点がある。
EONは海底ケーブルが未整備なルートやコストの高い長距離ルートを対象に、専用の帯域を販売するとしている。ハイパースケーラ企業やAI研究所が主な顧客候補だ。
今後の見通しと課題
調達資金は光学ラボの設立やエンジニアリング人材の採用、地上試験に充てられる。2027年末にはデモ衛星を打ち上げ、800Gbps〜1Tbpsの光ダウンリンクを実証したい考えだ。
専門家は、データセンターが求める品質と冗長性の基準は高く、衛星通信が信頼できるインフラになるには時間がかかると指摘する。一方で、データセンター自体を宇宙に建設する案よりは現実的との見方もある。
We have one rule at the company: no physics problems.
「当社には『物理の問題は扱わない』というルールがある」とハロウィッツ氏は言う。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、宇宙レーザー通信は海底ケーブルの冗長化や、地理的制約を超えたデータ転送の新たな選択肢になる可能性がある。特にアジア太平洋ルートの混雑や災害時のリスク分散に関心のある企業には重要だ。ただし、実用化はまだ遠く、EONの計画が成功するかは不透明。当面は既存の海底ケーブルや地上光ファイバーの補完として利用するのが現実的とみられる。
用語解説
- シード調達
- 会社設立初期の資金調達。事業化前の技術開発や計画立案に使われる少額の資金を指す。
- 光ダウンリンク
- 衛星から地上局へレーザー光を使ってデータを送る通信方式。電波より高速な伝送が可能。
- ハイパースケーラ
- AmazonやGoogleなど、大規模なデータセンターを運用し、膨大なデータを扱うクラウド企業。
出典
EON wants to move the data superhighway from ocean fiber to space lasers
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