- Blockが自社開発のAIエージェント作業環境をApache 2.0で公開
- デスクトップアプリとして複数モデル・エージェントを横断利用可能
- 会話履歴や設定をローカル保存し、状態を可視化する設計
発表の概要
米Blockは2026年8月18日、AIエージェントの作業環境「Berd」をApache 2.0ライセンスでオープンソース化したと発表しました。Berdは社内向けに開発されたデスクトップアプリで、現在はGitHub上で無料公開されています。macOS、Windows、Linuxの各プラットフォーム向けビルドが提供され、商用利用も可能です。
公開時点のリポジトリはバージョン0.6.2で、7回目のパブリックリリースとなります。91人のコントリビューターが参加しているとのことで、開発が活発に進んでいる様子がうかがえます。
何が新しいか
Berdは、ブラウザではなくローカルにインストールするデスクトップアプリケーションです。Blockの説明では、プロジェクトやローカルファイル、ツール、リポジトリ、ユーザーのコンピュータ上で動くエージェントと直接やりとりすることが価値の中心とされています。
チャットを開始したり、ファイルやフォルダを添付したり、エージェントやモデルを選択したりする操作を一つの画面で行えます。永続的なプロジェクトとして管理できるため、セッションをまたいで文脈を引き継ぐことが可能です。
設計思想と工夫
Berdの設計で強調されているのは、会話に影響を与えているプロジェクト、ファイル、エージェント、モデル、プロバイダ、セッションの状態が常に可視化されていることです。設定も管理層に隠さず、ワークフローの一部として扱います。
また、エージェントごとに役割や視覚的なアイデンティティが与えられています。例えば「Pushback」は草案に反対意見を出す役割、「Choosey」は意思決定を助ける役割を持つなど、複数のプリセット人格が用意されています。これはエージェントを単なるチャットウィンドウではなく、役割を持った存在として捉える試みといえます。
課題と今後の展開
Berdはブロック社内でGoose、Claude Code、Codexといったエージェントを利用する際の断片化を解消するために作られました。ただし、オープンソース公開されたばかりで、どのモデルやハーネスに完全対応するのかはまだ明確ではありません。
また、BlockはBerdをモバイル製品としては位置づけていません。外出先での利用には、同社のオープンソース共同作業プラットフォーム「Buzz」が推奨されています。デスクトップ用途に特化している点は、今後の利用シーンを考える上で注意が必要です。
企業にとっての意味
この動きは、AIエージェントを実際の業務に組み込むための「作業環境」の重要性を示しています。モデルの性能だけでなく、複数のエージェントをどう管理・操作するかが、企業での採用に大きく影響するでしょう。
Apache 2.0で公開されたため、日本の企業も自由にカスタマイズして自社のワークフローに組み込めます。技術的検証や社内ツールの基盤として利用する価値は高いと考えられます。
| 項目 | Berd | 従来のエージェント利用 |
|---|---|---|
| インターフェース | デスクトップアプリで統一 | ツールごとに別々 |
| コンテキスト管理 | 一元管理 | 個別に設定 |
| プロジェクト継続性 | 永続プロジェクトで維持 | 都度作り直す |
Berd is desktop-first because much of its value comes from working directly with projects, local files, tools, repositories, and agents running on or connected to the user’s computer,
Berdがデスクトップファーストなのは、その価値の多くがプロジェクト、ローカルファイル、ツール、リポジトリ、そしてユーザーのコンピュータ上で動作する(あるいは接続された)エージェントと直接連携する点に由来するからです。
今後の見通し
Berdはまだ初期バージョンであり、対応するモデルやハーネスの詳細は今後公開される情報を待つ必要があります。オープンソースコミュニティでの開発が進み、企業での採用事例が増えるかが普及のカギとなるでしょう。特に、Block自身がBerdをどのように社内で運用しているかが明らかになれば、実際の効果を判断しやすくなります。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、Berdのオープンソース化は、AIエージェントを業務に組み込む際の「操作環境」を自社で構築できる選択肢が加わったことを意味します。ローカルに履歴や設定を保存するため、機密情報を外部クラウドに送らずに済む可能性があります。また、複数エージェントを統一的なUIで扱える点は、既存のCLIやWebツールの乱立による運用コストを下げる効果が期待できます。加えて、状態を可視化する設計思想は、自社でAIツールを開発する際のUI/UXの参考になるでしょう。ただし、現時点では対応モデルの範囲が未公表であるため、実際の導入には検証と追加情報の確認が必要です。
気になる点
- Berdは無料で使えますか?
- はい、Apache 2.0ライセンスで公開されており、macOS、Windows、Linux向けのビルドが無料で提供されています。商用利用や改変も可能です。
- どのAIモデルやエージェントに対応していますか?
- 記事ではGoose、Claude Code、Codexなどのエージェントと併用できること、複数のモデルやハーネスを横断して操作できることが示されていますが、具体的な対応リストは明らかになっていません。
- モバイルで利用できますか?
- Berdはデスクトップアプリとして設計されており、モバイルでの利用は想定されていません。Blockは外出先での作業には別のプラットフォーム「Buzz」を推奨しています。
用語解説
- Apache 2.0
- 商用利用や改変、再配布が自由なオープンソースライセンスの一つ。
- AIエージェント
- ユーザーの代わりにタスクを実行するソフトウェア。会話だけでなく、コード実行やファイル操作も行う。
- ハーネス (harness)
- AIエージェントを制御・統合するための枠組みやラッパーのこと。
- デスクトップアプリ
- ブラウザではなく、ユーザーのPCにインストールして使うソフトウェア。
- 永続プロジェクト
- ファイルや設定、会話履歴を保存し、セッションをまたいで再利用できるプロジェクト単位。
出典
Block’s new Apache 2.0 agent workspace Berd works across models and harnesses, stores conversation history locally
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