
- Manus親会社のButterfly Effectが5億ドル超を調達。Meta買収撤回後で初
- Boyu CapitalとIDG Capitalが主導、TencentやHSG、ZhenFundも参加
- 評価額は非開示。前月に40億ドル評価で協議中との報道があった
5億ドル超を調達
中国のAI企業Manusの親会社であるButterfly Effectは10月8日、5億ドル超を調達したとWeChatへの投稿で発表しました。Metaによる20億ドルの買収が取り消されて以降、同社にとって初めての資金調達ラウンドになります。ラウンドを主導したのはBoyu CapitalとIDG Capitalで、既存株主のTencent、HSG(旧Sequoia China)、ZhenFundなども参加したとしています。
調達資金の使途について、同社は国内外での採用を続けると述べています。評価額は開示されませんでした。前月には、5億ドルを40億ドル評価で調達する協議を投資家と進めていると報じられていました。TechCrunchが評価額について質問したところ、Manusは回答していません。
Meta買収撤回の経緯
Manusは昨年、AIエージェントのデモをきっかけに注目を集めました。2025年半ばにスタッフをシンガポールへ移し、同年12月にMetaによる20億ドルの買収を発表しています。当時の年間経常収益(ARR)は1億ドル超とされていました。
2026年4月、中国当局はこの取引の解消を命じました。中国国内でAI人材や研究者が西側に流出することへの懸念が高まっていたことが背景にあります。Manusは8月に独立運営を再開し、分離の一環として一部のユーザーデータを削除する必要があったと説明しています。香港での上場を検討しているとも報じられています。
製品ポートフォリオ
Manusは、Cursor、Lovable、Replitといった企業が提供するものに近いAI製品とエージェントを作っています。チャットボットとバイブコーディング向けのツールを提供し、アプリやウェブサイトの構築、デザインやプレゼン資料の作成、動画の生成などができるとしています。
同社は最近、Manus 2.0を投入しました。新しいハーネスを中心に、新しい製品と機能を備えた新アーキテクチャだとしています。あわせて、個人向けAIエージェントに専用のメールアドレスや電話番号、デジタルウォレット、コンピュータを持たせる単体アプリ「Cue」も発表しました。ユーザーが設定した上限内で、エージェントがサービスをまたいで連携し、タスクの処理や支払いを行うとされています。
現時点で不明な点
評価額や資金使途の詳細は開示されていません。ARRが現在どの程度なのか、買収撤回に伴うデータ削除の範囲がどこまでなのかも示されていません。ARRが1億ドル超という数字は、買収を発表した時点のものとされています。
香港上場の検討は報道ベースで、時期や条件は明らかになっていません。日本を含む各国での提供状況や料金についても、今回の発表では触れられていません。
| 項目 | Meta買収計画 | 今回の資金調達 |
|---|---|---|
| 内容 | Metaによる20億ドルの買収 | 5億ドル超の資金調達 |
| 時期 | 2025年12月に発表 | 2026年10月に発表 |
| 当事者 | Meta | Boyu Capital、IDG Capitalが主導。Tencent、HSG、ZhenFundらも参加 |
| 評価額 | 非開示 | 非開示(報道では40億ドル評価で協議とされる) |
| 現状 | 2026年4月に中国当局が撤回を命令 | 2026年8月に独立運営を再開 |
Manus in August resumed independent operations following the end of the Meta deal, and said it was required to delete some user data as part of the split.
Manusは8月、Metaとの取引の終了を受けて独立運営を再開し、分離の一環として一部のユーザーデータを削除する必要があったと述べた。
今後の見通し
Manusは調達資金を国内外の採用に充てるとしています。香港上場の検討が報じられているため、上場申請や次の資金調達ラウンドのタイミングで評価額が正式に開示される可能性があります。Manus 2.0とCueが実際にどの程度利用されているのか、ARRが買収発表時の1億ドル超からどう推移したのかが明らかになれば、事業の実力を判断しやすくなるでしょう。中国当局の審査姿勢や米中間の規制環境も、今後の提携や上場の可否を左右するとみられます。日本市場での提供条件が示されるかどうかも注目点です。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本企業にとってこのニュースは、AIエージェントの調達先を選ぶ際の地政学リスクを具体的に示す事例です。成長著しい中国発のAI企業であっても、買収が政府判断で解消され、分離の過程でユーザーデータの削除が求められることがあります。Manusを業務利用する場合は、契約主体やデータの保管場所、サービス停止時にデータをどう扱うかを事前に確認する必要があるでしょう。一方で、Cueのようにエージェントへメールアドレスや決済手段を持たせる製品は、日本企業の業務自動化の選択肢になり得ます。CursorやLovable、Replitなどと並べて、機能と提供条件を比較検討する段階に入ったと考えられます。
気になる点
- 今回の資金調達でManusの評価額はいくらになったのか
- 評価額は開示されていません。前月には5億ドルを40億ドル評価で調達する協議中と報じられていましたが、TechCrunchの質問に対してManusは回答していません。確定した数字は今後の発表や上場申請を待つ必要があります。
- Metaとの買収契約の解消で、何が変わったのか
- Manusは2026年8月に独立運営を再開し、分離の一環として一部のユーザーデータを削除する必要があったと説明しています。買収発表時のARRは1億ドル超とされていましたが、現在の水準は示されていません。
- 日本企業はManusのAIエージェントを業務に使えるのか
- 原文には日本を含む地域別の提供状況や料金は書かれていません。CursorやLovable、Replitに近い製品を提供し、Cueではエージェントにメールアドレスや電話番号、デジタルウォレット、コンピュータを持たせるとしています。日本での提供条件は現時点で公表されていません。
用語解説
- AIエージェント
- ユーザーの指示に基づき、複数のアプリやサービスをまたいでタスクを実行するAIプログラム。
- ARR(年間経常収益)
- サブスクリプションなど経常的に得られる収益を1年分に換算した指標。
- バイブコーディング
- 自然言語による指示でAIにコードを生成させ、アプリやサイトを作る開発スタイル。
- ハーネス
- エージェントを動かす土台となる仕組み。原文では新しいハーネスを中心に新製品・新機能を構築したとしている。
- 評価額(バリュエーション)
- 企業価値を金額で表したもの。資金調達では株式の評価額として示される。
出典
China’s Manus raises over $500M in first funding round since split with Meta
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