
- NVIDIAが120BのオープンモデルNemotron 3.5 Super VLを発表
- エッジ向けにBolt 74B-A9B 24GBとBolt E4B 4GBを追加
- Super VLは最大級モデルと同等の精度を約5分の1の規模で実現と主張
発表された内容
NVIDIAは10月15日付のブログで、オープンな大規模モデル「Nemotron 3.5 Super VL」と、エッジ向けの「Nemotron 3.5 Bolt」2種を公開したと発表しました。Super VLは1200億パラメータ(120B)のマルチモーダルモデルで、指示追従やツール利用、複数手順の業務ワークフロー、視覚理解といったエージェント向けタスクを対象としています。
Boltは「74B-A9B 24GB」と「E4B 4GB」の2種類です。前者はローカルでのエージェント処理に向けて知能と速度のバランスを狙い、後者は高速な対話エージェントに向けてGBあたりの知能を重視して最適化されています。Super VLとBolt 74B-A9Bはすでに提供中で、Bolt E4Bは10月23日に提供予定とされています。
3モデルを合わせることで、大規模な企業サーバーからエッジ機器、ローカルハードウェアまで、エージェント配備の幅を一通りカバーすると説明されています。
技術的な特徴
Super VLは「Nemotron Coalition」との協業で開発されました。NVIDIAによれば、マルチモーダルのエージェントタスクで高い精度を持ち、同社最大の推論モデルと比べて約5分の1のパラメータ数で同等の性能を実現したとされています。また同クラスのオープンなエージェントモデルの中で最速で、次点より5倍速いと主張されています。
学習面では、事前学習と継続事前学習で約26兆トークン、その後のポストトレーニングで約380万サンプルと、多数の環境での強化学習を用いたと説明されています。視覚面では、OCRや表、グラフ、構造化情報の読み取りを想定しており、WebページやPDFからテキストやグラフを読み取って洞察を返せるとされています。
Bolt 74B-A9B 24GBは、独自の2ビット量子化により24GBのメモリに収まるよう設計されています。NVIDIAの説明では、同程度のメモリ容量の他モデルと比べて知能と速度のバランスが良く、PinchBenchでは同クラスのオープンモデルで1位、BrowseCompではオープンモデル中2位とされています。
ファミリー内での位置づけ
Nemotronファミリーには、すでに8月公開の「Lightning」と「Ultra」があります。Lightningは高スループットな処理、Ultraは最も難しい推論タスクを担い、今回のBoltがエッジに知能を持ち込む役割を担うと整理されています。
Super VLは業界の複数の組織が自社データでポストトレーニングしています。例えばScale AIはSkydanceとEY向け、AfterQueryはHebbia向け、AI21とAliceはサイバーセキュリティ向け、Mercorはコーディングエージェント向けにカスタマイズしたとされています。ModelScopeはms-swiftフレームワークを通じたファインチューニングを可能にしています。
プラットフォーム企業では、Atlassian(JiraやConfluenceを横断するエージェント検索)、CrowdStrike(セキュリティ)、Dassault Systèmes(設計・シミュレーション)、Perplexity(検索)、Salesforce(政府業務の自動化)、Synopsys(半導体設計検証)などがSuper VLを取り込んでいると紹介されています。
分かっていない点と注意
性能や順位はNVIDIA自身のブログで示されたもので、第三者の独立した検証結果は今回の原文では示されていません。実運用での精度は用途によって変わり得るとみられるため、自社タスクでの再評価が欠かせません。
ライセンス条件や商用利用の可否、価格については原文に明記がありません。オープンウェイトとして公開されるため自社インフラで動かせるとされていますが、具体的な条件は別途確認が必要です。
Bolt E4B 4GBについては詳細な仕様やベンチマークの記載が限られており、10月23日の提供開始以降に明らかになる可能性があります。
| 項目 | Super VL | Bolt 74B-A9B 24GB | Bolt E4B 4GB |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 大規模なマルチモーダルエージェント | ローカルの日常的なエージェント処理 | 対話・組み込みエージェント |
| 動作メモリ | 明記なし | 24GB | 4GB |
| 主な配備先 | DGX Spark、DGX Station、RTX、Jetson、データセンター、クラウド | RTX、DGX Spark、DGX Station、RTX PRO | GeForce RTX、Jetson、RTX/DGX Spark |
| 提供状況 | 提供中 | 提供中 | 10月23日予定 |
As the fastest open agentic model in its class — 5x faster than the next best — it helps enterprise agents complete high-volume tasks faster across workflows that span days or weeks.
同クラスで最速のオープンなエージェントモデルであり、次点より5倍高速なため、数日から数週間にわたるワークフローで企業のエージェントが大量のタスクをより速く完了するのに役立ちます。
今後の見通し
まず注目されるのは、Bolt E4B 4GBが予定通り10月23日に提供開始されるかどうかです。加えて、Super VLの性能や順位が第三者によって再現・検証されるかで、実務での採用判断に使える材料が増えると考えられます。NVIDIAはNeMoによるカスタマイズ、Hugging Faceでのデータセット公開、NIMによるマイクロサービス提供を挙げており、導入企業の事例が具体的な成果として共有されるかが次の判断材料になりそうです。Boltについては、対応ツールや実際のメモリ使用量が明らかになれば、エッジ配備の現実味を評価できるでしょう。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
NVIDIAがオープンウェイトのモデルをデータセンターからエッジまでそろえたことは、日本企業がエージェントを内製・自社運用する際の選択肢を広げます。特にSuper VLは自社データでのポストトレーニングが前提とされており、金融や医療などデータを外部に出しにくい領域では、クローズドソースのモデルに頼らずに済む可能性があります。Boltは24GBや4GBといった限られたメモリでローカル動作を狙うため、GPUを積んだPCやJetsonを使う現場のエッジAIにも影響します。一方で、性能指標は現時点でNVIDIA自身の発表が中心で、ライセンスや導入コストの条件も原文では不明です。導入検討時は、公開データセットやベンチマークを自社タスクで再評価し、日本語や自社固有業務への適応を確認する進め方が現実的と考えられます。
気になる点
- 日本企業でもNemotron 3.5 Super VLを利用できますか。
- 原文では、Super VLはHugging Face、Open Router、ModelScopeコミュニティ、NVIDIA NIMで提供されると説明されています。オープンウェイトとして公開されるため自社インフラでの利用も想定されますが、地域ごとの提供条件や日本語性能は原文に記載がなく、現時点では分かりません。
- 既存のローカル推論環境から移行できますか。
- Bolt 74B-A9B 24GBはllama.cpp、Ollama、LM Studio、Unsloth、vLLMに対応するとされ、既存のツールチェーンで扱いやすい構成です。Super VLもDGX Spark、DGX Station、RTX、Jetson、データセンターやクラウドで動作するとされていますが、具体的な移行手順は原文に記載がありません。
- 利用にかかるコストはいくらですか。
- 原文には価格や課金体系の記載がありません。オープンモデルとして公開されるため、自前のハードウェアで動かす場合は別途GPUなどのコストがかかるとみられます。NIMは2週間ごとに更新されるマイクロサービスとして提供されると説明されていますが、その費用は示されていません。
用語解説
- オープンウェイト
- モデルの重み(パラメータ)が公開され、自社環境でダウンロード・実行・改変できる形で配布されること。
- 2ビット量子化
- モデルの重みを2ビットで表現し、メモリ使用量と計算量を大きく減らす手法。精度とのトレードオフがある。
- ポストトレーニング
- 事前学習済みのモデルに、追加データや強化学習を用いて特定タスク向けの調整を行う工程。
- マルチモーダル
- テキストだけでなく、画像やPDFなど複数種類の情報をまとめて扱えること。
- NIM
- NVIDIA Inference Microservices。モデルを本番向けのマイクロサービスとして提供する仕組み。
- エッジ
- クラウドではなく、端末や現場の機器の上で推論を実行すること。
出典
Open From Data Center to Desktop: NVIDIA Expands Nemotron Family With Highest Efficiency Super VL and Bolt Models
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