
- 米政府の連邦機関向け撤去命令から2日後に、約150億ドル(約1000億元)を調達したと報じられた
- 投資家候補としてCATLやTencentの名前が挙がる。中国で最大級の調達ラウンドになる
- 6月の70億ドル超の調達に続く大型案件で、AIインフラとオープンモデルへの投資を拡大する
米規制の2日後に大型調達
Bloombergの報道によると、米国政府が連邦の民間機関に対して、安全保障上の懸念を理由にDeepSeekのAI技術をシステムから撤去するよう命じてから2日後、同社は約150億ドルを調達した。人民元建てでは約1000億元にあたり、中国で行われた資金調達として最大級の規模になる。TechCrunchはこの調達を独自に確認しておらず、DeepSeekは取材依頼にすぐには応じていない。
規制措置と巨額調達がほぼ同時期に起きた点は、米中のAIをめぐる環境が二方向に動いていることを示す。米国では政府機関からの排除が進む一方、中国国内では投資家が資金を投じ続けている。ただし調達額は報道段階の数字であり、確定した内容ではない点には留意が必要だ。
投資家と資金の使い道
投資家として名前が挙がっているのは、車載電池大手のCATLと、WeChatを運営するTencentなどだとされる。いずれも中国を代表する大企業だが、出資が確定したかどうかや、出資比率・条件は明らかになっていない。Bloombergの報道に基づく情報である。
DeepSeekは杭州に拠点を置くAIスタートアップで、報道によれば国内・海外市場向けにAIインフラとオープンモデルへの支出を拡大している。米国で規制を受けながらも投資を続ける姿勢である。この拡大は、中国国内の競合他社との競争をさらに激しくする可能性があると報じられている。
中国AI投資ブームの一環
中国のAI企業への資金流入は続いている。Kimiを開発するMoonshot AIは2026年5月に評価額200億ドルで20億ドルを調達し、Manus AIは同年10月に5億ドル超を調達した。2026年1月に香港で上場したZhipu AI(Z.ai)とMiniMaxの時価総額は、記事執筆時点でそれぞれ約290億ドル、約72億ドルとされる。
DeepSeekは2023年、中国のクオンツヘッジファンドHigh-Flyerの共同創業者であるLiang Wenfeng氏が設立した。同ファンドは初期開発の資金を支えたとされる。2025年初頭には無料で使えるオープンウェイトの推論モデル「RI」で世界的な注目を集め、米国のAI企業の優位性に挑んだ。直近の調達後も、Liang氏は中国の事業主体の推定81.6%の持分を保有しているという。
未公表の評価額と注意点
今回の報道には、調達後の企業評価額が含まれていない。DeepSeekは2026年6月に評価額500億ドルで70億ドル超を調達したとされ、7月には約710億ドルの評価額で15億ドルを追加調達し、早ければ来年にも中国での新規株式公開(IPO)を計画していると報じられていた。今回のラウンドがこれらの計画をどう変えたかは不明だ。
また、投資家の顔ぶれや出資額は報道段階の情報であり、確定した内容ではないとみられる。米政府の規制が今後の海外展開やモデル提供にどこまで影響するかも、現時点では明らかになっていない。
| 時期 | 調達額 | 評価額 |
|---|---|---|
| 2026年6月 | 70億ドル超 | 500億ドル |
| 2026年7月(報道) | 15億ドルを追加で模索 | 約710億ドル |
| 2026年10月(報道) | 約150億ドル | 非公表 |
The Hangzhou-based AI startup is ramping up spending on AI infrastructure and open models for domestic and international markets, even as it faces restrictions in the U.S., the report said.
杭州に拠点を置くこのAIスタートアップは、米国で規制に直面しながらも、国内および海外市場向けにAIインフラとオープンモデルへの支出を拡大していると、同報道は伝えている。
今後の見通し
今回の報道はBloombergの情報筋に基づくもので、DeepSeek自身はTechCrunchの取材に回答していない。まず確認すべきは、調達が正式に完了したかどうか、最終的な調達額と評価額、そして実際に出資した投資家の顔ぶれだとみられる。7月に報じられた約710億ドル規模の評価額や、早ければ来年とされる中国でのIPO計画が今回のラウンドでどう変わったかが明らかになれば、同社の企業価値の見通しを判断できる。米国での規制が対象範囲を広げるかどうかも、海外市場での展開を左右する材料になる。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業にとって、DeepSeekはオープンウェイトモデルの主要な供給元の一つであり、今回の大型調達はモデル開発やAPI提供が今後も続く方向を示す材料になる。一方で、米政府が連邦機関に撤去を命じた事実は、日本企業が業務利用や社内システムへの組み込みを検討する際に、データの取り扱いや調達先のリスク評価を求められる場面が増えることを意味するとみられる。CATLやTencentのような産業資本がAI企業に出資する動きは、中国国内でモデル利用が製造業やプラットフォーム事業と結びついていく可能性を示す。調達額の規模は、オープンモデルを無償公開し続けるための資金力の差にも直結し、価格や性能の競争条件に影響しうる。
気になる点
- DeepSeekのモデルは日本からも使い続けられるのか
- 本記事が報じているのは、米政府が連邦の民間機関に撤去を命じたという内容で、日本での利用可否には触れていない。日本国内での提供状況や利用条件は現時点では公表されていない。業務利用を検討する場合は、提供元の最新の利用規約と社内の調達基準を確認する必要がある。
- 今回のラウンドでDeepSeekの評価額はいくらになったのか
- 今回の報道には評価額が含まれておらず、現時点では公表されていない。過去には2026年6月に70億ドル超を評価額500億ドルで調達し、7月には約710億ドルの評価額で15億ドルを追加調達する動きが報じられていた。
- CATLやTencentはなぜ出資するのか
- 出資の狙いについて原文に説明はなく、現時点では公表されていない。TencentはWeChatを運営するプラットフォーム企業、CATLは車載電池メーカーであり、いずれも自社事業とAIの接点を持つ企業である。出資が確定したかどうかも明らかになっていない。
用語解説
- オープンウェイト
- 学習済みモデルの重み(パラメータ)を公開する形態。ソースコードが非公開でも、モデルの利用や改変が可能になる。
- 評価額(バリュエーション)
- 企業価値を金額で表したもの。資金調達額と出資比率などから算出されることが多い。
- 推論モデル
- 最終的な回答の前に思考の過程を生成するタイプのAIモデル。複雑な問題への対応を狙う。
- IPO
- 新規株式公開。企業が証券取引所に株式を上場し、市場から広く資金を調達する行為。
- 連邦民間機関
- 米連邦政府の機関のうち、軍事部門を除いた行政機関を指す。今回の撤去命令の対象とされる。
出典
DeepSeek reportedly raises $15B days after US restrictions
https://techcrunch.com/2026/10/22/deepseek-reportedly-raises-15b-days-after-us-restrictions
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