この記事について海外で公開された情報をもとにAIが要約・解説した記事です。原文の翻訳ではありません。正確な内容は記事末尾の出典元をご確認ください。
この記事の要点
  • Go実装のTypeScriptコンパイラをRustに移植したtsc-rsを公開。MITライセンスでnpmから配布
  • OpenAI系モデルは40万ドル超で互換84%止まり、Claude Opus 5.5は2週間・約2万4,047ドルでv0達成
  • 型チェックはGo版の約半分の時間。tsc 7比1.61倍速、bun checkは2.95倍速

何が公開されたのか

pingdotggが「ts-rust(別名tsc-rs)」を公開しました。TypeScriptのコンパイラ、型チェッカー、言語サーバー(LSP)をRustで実装し直したものです。MicrosoftのネイティブTypeScriptコンパイラ(Goで書かれたmicrosoft/TypeScript、旧typescript-go)を直接移植したもので、Go版のアルゴリズムと挙動、コマンドライン(tsc)、言語サーバー、APIをそのまま踏襲していると説明されています。ライセンスはMITです。

きっかけは、LLMにTypeScriptコンパイラの移植ができるかを試すことでした。作者によれば、実際に移植は可能だったとのことです。npmではtsc-rsという名前で配布され、tscと同じオプションを受け付けます。TypeScript本体のパッケージ名と衝突しないよう、あえてtsc-rsという名前にしていると説明されています。

LLMによる移植の実際

作者はまず複数のOpenAI系モデルを試しました。GPT-5.6 SolとGPT 6 Astraを使い、API換算で40万ドルを超えるトークンを消費し、数か月にわたって130万行を超えるRustコードを書かせたものの、互換性は84%程度から先に進まなかったと述べています。

その後Claude Opus 5.5を試したところ、10時間で動作するv0ができました。既存のCodex系モデルのコードを流用していると思いきや、Opus 5.5はゼロから書き始め、Astraより10分の1の時間でより先まで到達したとしています。2週間のAPI利用額は約2万4,047ドルで、200ドルのプランの週次上限の925%から983%に相当したとのことです。

精度と速度

tsc-rsは、microsoft/TypeScriptの特定リビジョン(673a5f17d713、2026-09-29、TypeScript 7.1.0-dev)に固定して移植されています。移植されたGoのテスト181,711件がすべて通り、TanStack Query coreとHonoではGo版と同一の診断結果になったと報告されています。言語サーバーとAPIの応答も、オラクルテストセットでGo版と一致するとしています。

速度面では、60のオープンソースプロジェクトで型チェックにかかる時間がGo版の約半分(幾何平均)だったとされています。ただしCIでビルドされるプレビューパッケージはPGOとBOLTを使っていないため、計測に使ったビルドより遅いと注記されています。

Effectの言語サービス診断(コード377xxx)を内蔵している点も特徴です。Effectプロジェクトであれば別のコンパイラを併用せずに済み、tsconfigにプラグインを書くことで有効になります。ルールやオプションはEffect-TS/tsgo 0.46.1の移植ですが、クイックフィックスやリファクタリングなどのエディタ機能は移植されていないと説明されています。

既存ツールとの位置づけ

記事ではtsc 6(JavaScript実装)、tsc 7(Go実装)、tsc-rs、Bunのbun checkを比較しています。tsc 7と比べるとtsc-rsは1.61倍速く、bun checkは2.95倍速い(幾何平均)という結果です。tRPCを除くすべてのアプリでbun checkが最速だったとされています。

ただしbun checkはEffect診断を持たないため、Effectプロジェクトでは別途チェックが必要になります。tsc-rsは1回のチェックでEffect診断まで出せる点が違いとして挙げられています。計測はApple M4 Pro(12コア、48GB)、macOS 26.5.1上で、hyperfineを使いウォームアップ1回の後に5回の中央値を取る方法で行われたと説明されています。

注意点と未確定な部分

これは早期リリースであり、作者自身が「このコードを1行も読んだことがない」と明言しています。インストールが実際に動くかも分からないとしています。対応プラットフォームはLinux x64(静的、任意のディストリビューション)とmacOS arm64で、WindowsとLinux arm64はまだ提供されていません。

既知の問題も複数挙げられています。一部のモノレポでは、ワークスペースパッケージのソースがnode_modules経由と直接インポートの両方から到達可能な場合に、tsc-rsが余分なファイルの出力を書いたりTS6059を報告したりすることがあります。tsc -bでは、プロジェクト参照なしに他プロジェクトの出力をインポートしているケースで古い出力を読むことがあるとされています。エディタでは長時間の編集セッションでメモリが緩やかに増える(1,000編集あたり約20MiB)との報告もあります。

なお、記事の一部(「The Slop Line」より下)は著者ではなくLLMが書いたと明記されています。数値や互換性の主張はプロジェクト側の自己申告であり、独立した検証は示されていません。

LLM別の移植コストと成果の比較
項目OpenAI系モデルClaude Opus 5.5
APIトークン費用40万ドル超約2万4,047ドル
開発期間数か月2週間
到達点互換性84%を超えられず10時間で動作するv0
原文からの引用
I wanted to see if LLMs could port the TypeScript compiler, checker and lsp to Rust. Turns out they can. It cost over $420,000 in tokens to do it, but you could probably have done it for ~$20k

LLMがTypeScriptのコンパイラ、チェッカー、LSPをRustに移植できるか試してみたかった。できることが分かった。これには42万ドルを超えるトークン費用がかかったが、おそらく2万ドル程度でもできただろう。

今後の見通し

tsc-rsはまだWindowsやLinux arm64に対応しておらず、早期リリースの段階です。今後、対応プラットフォームの拡大や既知の問題の修正が進むかどうかが焦点になるとみられます。著者が「コードを1行も読んでいない」と述べているため、第三者がコードの品質や安全性を検証するかも重要になります。実際の業務で採用を判断するには、自分のプロジェクトでtsc-rsとtsc 7の診断結果を突き合わせ、差分が出ないかを確認するのが現実的です。モノレポやtsc -bの既知の問題が解消されるか、あるいは安定版がどう位置づけられるかが分かれば、判断しやすくなるでしょう。

日本の開発者・IT企業にとっての意味

日本のIT企業や開発者にとって、この取り組みは二つの意味を持ちます。一つは、TypeScriptの型チェックを高速化する選択肢が増えることです。大規模なモノレポでは型チェックが開発サイクルのボトルネックになりやすく、Go版よりさらに速い実装が実用になれば、CI時間の短縮につながる可能性があります。もう一つは、LLMによる大規模なコード移植が現実的な選択肢になりつつあることを示す事例です。40万ドル規模の試行錯誤を経て、別のモデルが2週間で約2万4,047ドルという結果を出した経緯は、モデル選択と進め方がコストを大きく左右することを示唆します。ただし本件は早期リリースで、作者自身がコードを読んでいないと述べており、業務利用には自プロジェクトでの検証が欠かせません。

気になる点

Windowsでも使えますか。日本で使う場合の注意点は
現時点で対応しているのはLinux x64(静的ビルド)とmacOS arm64で、WindowsとLinux arm64は未提供と明記されています。Windows環境でそのまま使うことは難しい状況です。WSL2などでLinux x64として動かす余地はありますが、記事ではWSLでの確認には触れられていないため、実際に試す必要があります。
導入や利用に費用はかかりますか
移植作業にかかったLLMのAPI費用は、OpenAI系モデルで40万ドル超、Claude Opus 5.5で約2万4,047ドルと報告されています。ただしこれは開発側のコストで、tsc-rs自体はMITライセンスのオープンソースとしてnpmから配布されると説明されており、利用時に同様の費用がかかるわけではないとみられます。
既存のtscから移行できますか
tsc-rsはtscと同じオプションを受け付け、npmパッケージ名はtsc-rsです。実プロジェクトでの互換性は100%と主張され、tsc 7と比べた診断結果の差も一部を除いて一致するとされています。ただしモノレポやtsc -bの一部ケースで既知の問題があるため、移行前に自プロジェクトでの検証が必要です。

用語解説

tsc
TypeScriptのコンパイラ兼型チェッカーのコマンドライン。ソースの型検査とJavaScriptへの変換を行う。
LSP
Language Server Protocol。エディタに補完や定義ジャンプなどの機能を提供するための共通規格。
WASM
WebAssembly。ブラウザなどで動かせるバイナリ形式で、高い実行性能を狙える。
PGO
Profile-Guided Optimization。実際の実行プロファイルを基に最適化する手法。
BOLT
コンパイル済みバイナリの命令配置を最適化するLLVM系のツール。
Effect
TypeScript向けのエフェクトシステムを提供するライブラリ群。専用の診断ツールを持つ。

出典

Port of the TypeScript compiler, checker and lsp to Rust, by LLM

Hacker News / jcbhmr / 2026年10月8日

https://github.com/pingdotgg/ts-rust

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