
- Alphabetの第3四半期売上高は約1,280億ドルで前年比25%増、純利益は約90億ドル減少
- AI Modeの1クエリ当たり収益は従来のWeb検索より少ないと会社側が認めた
- AI Mode広告を国際市場へ拡大し、米国では対話に応じて変わるマルチターン広告を導入
第3四半期決算と株価の反応
Alphabetは2026年7〜9月期(第3四半期)の決算を発表しました。売上高は約1,280億ドル、純利益は260億ドル超で、売上高は前年同期比25%増となっています。ただし純利益は前年同期より約90億ドル少なく、増収増益とはなっていません。
市場の反応は厳しく、決算発表後に株価は一時13%程度下落し、記事執筆時点でも12%近く下がっています。1株当たり利益は2.12ドルで、事前の市場予想である3.02ドルを大きく下回りました。会社側の説明以上に、投資家の期待値が高かったことがうかがえます。
一方でGoogle Cloudは売上高が300億ドルを超え、アナリスト予想を約10億ドル上回りました。クラウドは伸びているものの、検索広告とAI関連支出をめぐる懸念が全体の評価を押し下げた形です。
AI検索の収益性
決算説明会では、最高事業責任者(Chief Business Officer)のPhilipp Schindler氏が検索量の伸びに言及しました。第3四半期の検索は前年比12%増で、第2四半期の17%、第1四半期の19%から鈍化しています。第3四半期の検索売上は横ばいでした。
同氏は、AI Modeの1クエリ当たりの収益が従来のWeb検索と比べて少ないことを認めています。広告の本数が少なく、掲載にかかるコストも低いためだという説明です。AI Modeの収益は今後増える見通しとした一方、広告主がAI検索広告の価値を理解するには時間がかかるとも述べ、期待を抑える姿勢を見せました。
同社の調査では、ユーザーは従来の検索広告よりもAI検索広告を関連性が高く有用だと感じているとされます。ただし、その評価が現時点で収益に直結しているわけではありません。
AI Mode広告の拡大
決算開示の一環として、GoogleはAI Modeにおける広告の拡大を発表しました。近くより多くの国・地域でコンテキスト広告が表示されるようになります。検索チャットボットを利用するユーザーは、関連性の高い広告により多く触れることになります。
米国ではすでにAI Mode広告が一般化しつつあり、今後は「マルチターン広告」が導入されます。チャットボットとのやり取りが続く中で、スポンサーリンクが対話の流れに応じて変化する仕組みです。
CEOのSundar Pichai氏は、Googleがより多くのユーザーをAI Modeに誘導する中で、こうした複数回のやり取りが一般的になりつつあると述べています。広告の出し方を対話型に合わせにいく方針が読み取れます。
AI投資はさらに加速
GoogleはAIへの投資を緩めるどころか、加速させています。第3四半期の設備投資は514億ドルで、2026年通年の支出は1,950億〜2,050億ドルを見込み、2027年には3,000億ドル超のAI投資を目標に掲げています。
その裏で、第3四半期のキャッシュフローはマイナス90.6億ドルとなり、前四半期のマイナス58億ドルから赤字幅が拡大しました。AI関連支出の増加が直接の要因とされています。
投資を続ける根拠として、Googleはクラウド売上高が過去1年で2倍以上になったことを挙げています。AI計算基盤はGeminiだけでなく、多数のAIスタートアップにも提供されており、そうした外部需要がクラウド収益を支えている構図です。
現時点で分かっていないこと
AI Modeの1クエリ当たり収益が従来検索よりどの程度少ないのか、金額や比率は示されていません。検索成長の鈍化がどこまでAIチャットボットへの利用流出によるものかも、明示的な説明はありません。
AI Mode広告が「より多くの国際市場」のどこで、いつ始まるかの詳細は公表されていません。日本での展開時期も原文では触れられていません。
2027年の3,000億ドル超という投資計画が、検索広告とクラウドのどちらにどれだけ配分されるかも不明です。投資回収の道筋を判断するには、今後数四半期の検索収益とクラウド成長の推移を見る必要があります。
| 項目 | 第3四半期 | 前四半期 |
|---|---|---|
| 検索量の伸び(前年同期比) | 12% | 17% |
| キャッシュフロー | -90.6億ドル | -58億ドル |
According to Schindler, each AI Mode query earns less revenue compared to a similar web search—there are fewer ads, and they cost less to run.
Schindler氏によれば、AI Modeの各クエリは同程度のWeb検索と比べて得られる収益が少ない。広告の本数が少なく、掲載にかかるコストも低いためだ。
今後の見通し
GoogleはAI Mode広告の国際展開とマルチターン広告の導入を進める方針ですが、1クエリ当たり収益の差がいつ、どの程度埋まるかは示されていません。判断材料になるのは、今後数四半期の検索売上の伸びとAI Mode広告の収益寄与です。2027年に3,000億ドル超を見込むAI投資とキャッシュフローの赤字幅がどう推移するかも焦点になります。クラウド収益の伸びが鈍化した場合、投資余力に影響が出るとみられます。
日本の開発者・IT企業にとっての意味
日本のIT企業や開発者にとっては、検索経由の集客と広告運用の前提が変わりつつあることを示す内容です。Web検索の伸び鈍化とAI Modeへの誘導が進めば、SEOやリスティング広告に依存してきた流入設計は見直しを迫られます。AI Mode広告は対話の流れに応じて出し分けられるため、広告クリエイティブや計測の考え方も従来とは異なってきます。また、Google CloudがAI計算基盤として外部企業に広く使われている構図は、国内でAIモデルを動かす際の調達先リスクとコストに直結します。設備投資の拡大が続けば、APIや計算資源の提供条件にも影響し得ます。
気になる点
- AI Modeの広告は日本でも表示されるのか
- GoogleはAI Mode広告を「近くより多くの国際市場で開始する」と説明していますが、対象国のリストは原文で示されておらず、日本での開始時期は公表されていません。米国では先行してマルチターン広告が導入される予定です。
- AI Modeの収益は従来の検索に追いつくのか
- 時期は明示されていません。Schindler氏は収益が増える見通しに触れつつ、広告主がAI検索広告の価値を理解するには時間がかかると述べ、期待を抑えています。1クエリ当たりの収益差の具体的な数値も公表されていません。
- 今回の決算で市場が失望したのはなぜか
- 売上高は前年比25%増と伸びましたが、1株当たり利益が2.12ドルと市場予想の3.02ドルを下回り、純利益も約90億ドル減少しました。さらにAI投資によるキャッシュフローのマイナス幅が拡大しており、収益性と支出の両面が嫌気されたとみられます。
用語解説
- AI Mode
- Geminiモデルを基盤とするGoogleのAI検索機能。通常の検索結果に加えて対話形式で回答を提示する。
- Gemini
- Googleが提供する生成AIモデルのシリーズ名。検索やGmail、Androidなど同社製品に組み込まれている。
- マルチターン広告
- チャットボットとの複数回のやり取りに応じて、表示されるスポンサーリンクが変化する広告形式。
- 設備投資(ケープレックス)
- サーバーやデータセンターなど長期利用する資産への支出。AI計算基盤の増強では金額が大きくなりやすい。
- 1株当たり利益(EPS)
- 純利益を発行済み株式数で割った指標。市場予想との比較で企業の収益力を見る際に使われる。
出典
Google admits AI search makes less money, but it's fixing that with more ads
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